“敗者復活”の中島が見せた一撃 貴重な先制点もチームは逆転負け

「思い切って打ちました」

 なでしこジャパン出場キャップ21試合の意地を見せた―。
 MF中島依美(INAC)は4日、東アジアカップ第2戦の韓国戦(中国・武漢)で、前半30分に先制ゴールを決めた。自らのコーナーキックから始まったプレーで、こぼれ球に反応すると、思い切りよく右足を振り抜いた。「ファーストシュートだったので思い切って打ちました」という一撃は、韓国DFの足を弾いてゴールに突き刺さった。これが代表通算6ゴール目となった。
 中島にとっては、背水の陣で迎えた今大会だった。高校卒業後、2009年にINACへ入団すると、デビュー年からコンスタントに出場機会を確保。左 右両足から繰り出す正確なキックを武器に、10年にはDF熊谷紗希(リヨン)などと、U-20女子W杯の舞台に立ち、セットプレーのキッカー役を担った。
 所属チームでは、11年に澤穂希や大野忍といったなでしこジャパンの主力メンバーが加入しても、ポジションを明け渡さず、フル代表デビューも果たした。11年の女子W杯ドイツ大会や12年のロンドン五輪こそチャンスは与えられなかったが、翌13年からはなでしこジャパンにコンスタントに選出されている。14年は、なでしこジャパンで12試合出場と、存在感を放った。
 しかし、今年に入ってからはメンバーに入る機会がなくなっていた。今回の「チャレンジなでしこ」と佐々木則夫監督が命名したメンバーにも選出されず。直前合宿で小原由梨愛(新潟) が負傷離脱したことで、追加招集として滑り込んだ。中島にとっては“敗者復活戦”とも呼べる舞台が、この東アジアカップだった。
 中島は「追加招集ということではありますが、選んでいただいたからには、最初からチームにいたくらいの気持ちで頑張りたい」と、経験ある選手としてのプライドをにじませていた。初戦の北朝鮮戦は、チームが2-4と敗れる姿をベンチから見つめた。この日の先制ゴールは、まさに捲土(けんど)重来の一撃となった。

 

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