「今の自分はあの時を超えている」 ノジマステラ田中陽子、“ヤングなでしこ”の残像からの脱却
「今がすごく充実している。U-20W杯があったからこそ今がある」
田中にとって、2012年のU-20女子W杯はキャリアにおいてどんな意味を持つのか。「自分自身は全然変わってないんですけど…」と6年前の記憶を辿り、静かに言葉を紡ぐ。
「周囲の方々に応援してもらうきっかけになった、転機だったと思います。サッカー選手である限り、私はいろんな人に愛される存在でありたい。日本開催という最高のタイミングで皆さんに(存在を)知ってもらえて、たくさんの声援を受けて、そこが一つ自分にとってプラスになりました」
その後、田中は2013年になでしこジャパンデビューを果たすも、同年9月のナイジェリア戦以降は代表の舞台から遠ざかることになる。JFAアカデミーから加入したINACでの3年間もリーグ戦出場は計34試合にとどまった。少なからず、周囲からは輝きを放った2012年U-20女子W杯時と比較され、田中自身もバイオリズムが下降線をたどった事実は認める一方、決してそれが「重荷になることはなかった」という。その真意とは――。
「私、嬉しいことは覚えていて、つらいことはすぐに忘れちゃうタイプなんです(笑)。正直、その時期があまり良かったとも思っていなくて。今がすごく充実しているからかな、と。でも、U-20W杯があったからこそ今がある。全ての経験が良かったと受け止められます。今の自分はあの時をもう全然超えている、と自信を持って言えるので」
プレーヤーとして大きく成長した田中が、再び代表の舞台に戻ってくる姿をファンは心待ちにしている。
(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)
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