これまで無印の男が、初代表、初先発、初シュート、初ゴールと、初物ずくめの鮮烈デビューを飾った。 日本代表初招集のMF武藤雄樹(浦和)が、いきなり結果を出した。東アジアカップ初戦の北朝鮮戦でトップ下で先発出場すると、前半3分にDF遠藤航(湘南)の右クロスに左足で合わせて先制ゴールを決めた。 流通経済大から2011年に仙台に加入すると、途中出場を中心に4シーズンで70試合出場6得点を挙げた。そして今季、浦和に移籍加入すると、一気に大ブレーク。今季チーム最多のリーグ9得点を挙げ、ファーストステージの浦和無敗優勝の原動力となった。そうした活躍 が認められ、初のA代表にまで上り詰めた。 バヒド・ハリルホジッチ監督も、「今のところMFで登録しているが、FWでもプレーできる」と、その攻撃能力に期待を懸けていた。浦和での9得点のうち、8得点はワンタッチで決めたもの。相手のマークを外して一撃で止めを刺す。代表の舞台でも、その持ち味を存分に発揮した。 代表選出にあたり、「子供のころから憧れていた場所。浦和でのプレーが評価されてのことだから、全力でやりたい。中国はACLでもプレーしたことがあるから分かっている。楽しみ」と意気込みを語っていたが、まさに電光石火での先制弾になった。 FC東京からマインツに移籍した武藤嘉紀の移籍報道が過熱した時期にゴールを決めた時には、自ら「“じゃない方の武藤” が決めたと書いておいてください」とコメントして話題になった。今やJリーグの武藤と言えば浦和の武藤であり“じゃない方”ではなくなった。日本代表でも、武藤雄樹の名を知らしめた格好だ。 【了】 サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images