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世界的な指導者集団サッカーサービスが明かす日本代表の長所と改善点とは?
■なぜ日本はボールポゼッションできなかったのか?
この試合、日本のストロングポイントであるボールポゼッションがほとんど機能しなかった。ポール氏は「コンディション面、メンタル面はピッチの外からはわかりませんが…」と前置きをした上でこう続ける。
「日本のストロングポイントは左サイドの香川選手と長友選手の連携です。香川選手が中に入り、空いた外のスペースに長友選手が走りこむといった、連動した動きが見られませんでした。その理由として、攻撃時に縦に急ぎすぎることが挙げられます。攻撃の組み立てのとき、日本がどこから仕掛けているかを見ていましたが、ダブルボランチのひとり(山口)が最終ラインの近くにポジションをとることが多いのために、自陣低い位置からのビルドアップになってしまっていました。結果としてチームを前進させることができず、コントロールミスやパスミスが多く、ボールを失っていました」
日本のボール支配率は42%、コートジボワールは58%だった。フィジカルに長けた相手に簡単にボールを渡してしまっては、攻め勝つことは難しい。ポール氏の指摘は続く。
「ポゼッションをするならば、センターバックにビルドアップの責任を持たせて、ボランチをもう少し相手ゴールに近い位置でプレーさせるべきだと思います。コートジボワールがハイプレスをかけてきたわけではないのに、縦へ急いでボールを失っていました」
ザッケローニは後半9分、長谷部に変えて遠藤を投入した。ポールはこの起用に疑問を投げかける。
「1点ビハインドの状況で、ドログバが出てくることは容易に想像できましたし、センターバックの吉田はイエローカードを1枚もらっていました。失点にはつながりませんでしたが、ヤヤ・トゥーレを自由にさせる場面も多かった。この状況でボランチに求められるプレーはハードなディフェンスです。遠藤を入れることで『ボールポゼッションを高めて、試合をコントロールしよう』という意図があったのだと推測しますが、チームとして縦に攻め急ぎすぎて、選手間での共通意識がないように見えました。チームとしてもポゼッションではなく、相手ゴールへとシンプルに迫るダイレクトプレーが多かった。それならば遠藤である必要がありません。個人的には、守備に特徴のある選手を投入しても良かったのではと思います」
2戦目のギリシャ戦まで中4日。どのように立て直せば良いのだろうか。
「日本の選手は、技術的にはなにも問題ありません。それを発揮するためにはインテリジェンスが重要です。自分たちがしようとしているサッカーをするために、選手同士がプレーに対する理解度を深め、ゲーム運びの成熟度を高めること。次のギリシャ戦では、日本が主導権を握ることができると思います。コートジボワール戦よりも、ボールポゼッションがしやすくなるはずです。日本の良さを出すことができれば、十分にチャンスはあると言えるでしょう」
【了】
取材・文/鈴木智之
ポール・デウロンデル
UEFA監督ライセンスA級を所持。サッカーサービス社において試合分析の責任者を務める。現在は、サッカーサービススクール常駐コーチとして来日中。
サッカーサービス社とは
スペイン、バルセロナに本拠を構えるプロの指導者集団。欧州名門クラブの育成監督などで構成され、リーガ・エスパニョーラトップチームの選手をはじめとした世界一流選手のパーソナルコンサルティングを行う一方、欧州を中心に世界各国でクリニックを開催し、若手選手の育成にも力を入れている。また、2014年4月から関東圏にU-12対象の常設スクールを開校した。
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