チャレンジなでしこが始動 佐々木監督の東アジア杯への思いとは

ポイントとなる初戦の北朝鮮戦

 一方で、日本にとっては、前回3位に終わった大会でもあり、初優勝を目指す大会でもある。全ての選手を使いたいが、大会全体の勝利も求めたい。そのはざまにある指揮官は、初戦の結果をポイントとして挙げた。
「やはり第1戦の北朝鮮戦の状況いかんになる。この大会に対しては、優勝が一番の目標。(ターンオーバーするかは)北朝鮮との戦い次第。決して決めつけるということはしないという考えでいる」
 初戦で対戦する北朝鮮は、守備でボール際の激しい当たりを見せ、攻撃ではスピードを生かしたプレーを得意としている。
 北朝鮮とは前回の2013年大会で、共に初戦を勝利した第2戦で激突した。スコアレスドローに終わった。日本は第3戦の韓国戦に敗れて3位。北朝鮮は、中国を下して初代チャンピオンの座を手にしている。続く14年にはアジア大会決勝で北朝鮮と対戦した。2点リードを許す苦しい展開から1点を返したが、終了間際に3点目を奪われて1-3で屈した。「北朝鮮については前回アジア大会で非常に素晴らしいプレーで、してやられた。攻守にわたりパンチ力がある」と、佐々木監督は強い警戒感を隠さない。
 北朝鮮女子代表は、11年にドーピング検査で5人の選手から陽性反応が出た影響で、今年のカナダ女子W杯には予選の時点で出場資格がなかった。しかし、今後は世界大会に出る前のアジアの壁として、再び立ちはだかることになる。特に、来年2月から始まるリオデジャネイロ五輪予選におけるアジアからの出場枠は2つしかない。なでしこを含め、カナダ女子W杯でアジア勢は出場4カ国全てが決勝ラウンドへ進出している。そこに北朝鮮が加わるだけに、世界を見渡しても最激戦区と言える場所だ。
 それだけに、この大会で北朝鮮をたたいておくことには大きな意義がある。指揮官の言葉どおりに2戦目以降を有効活用し、多くの選手にチャンスを与えてなでしこジャパン全体の底上げを果たすためにも、勝利という最高のスタートを切りたいところだ。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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