森重が改めて語ったコートジボワール戦の2失点の要因と次に下すべき判断とは
「戦術的なことよりも、今は気持ち的な部分が自分たちには必要。やってきたことは間違いないし、それを出せるか、チャレンジできるか。そこはしっかりとギリシャ戦に向けて出していかないといけない」
森重は、そう言うと、苦き敗戦を再びかみ砕いた。1点をリードし、そのあとに取るべきチームとしての狙いはどこに置くべきだったのか。まず意図したのは、追加点を奪うためのショートカウンターだった。だが、その戦術は見事に交わされてしまう。
「高い位置で奪ってショートカウンターというのが理想だったけど、プレスがはまらなくて、ラインが下がってしまってサコ(大迫)と圭佑くんが孤立してしまった」
チームとしての狙いであった前線からのプレスを交わされたときの対処が見つからなかったのだ。
結果的にそれがチーム全体の間延びを生み、統率を欠く原因となってしまっていた。
「どうやってはめるかを試合で修正できずに間延びしてしまった。相手がボランチを使ってうまくビルドアップしてきていて、自分たちのプレスを回避していた。それに対して、やっぱり前からいかなきゃってなって、前と後ろのスペースが広がった」
まさに、その結果が2失点を生んだ。ポジションのスライドが遅れ、マークにズレが生じた。間延びしたことで前線には帰陣の意識はあっても、戻る距離が長くなってしまい、戻りきれない。2失点は、いずれもクロスを上げたオリエールをフリーの状態にしてしまっていた。森重は、そうした時間帯での対処方法について「前からプレスにいけなかったときに、後ろでコンパクトにする。そういう時間も必要だった」という。
最終ラインを押し上げるか、もしくは中盤を下げてブロックをしっかりと組むのか。その戦術的な判断をベンチの指示を待たずしてピッチで下すべきだったのだ。
普段は、ひょうひょうとした語り口の男が、その言葉に純度の高い熱量を込めた。
「やってきたことができずに悔しい気持ちが強いし、相手がすごかったとかじゃなく、自分たち次第だったと思う。悔しいですね」
この地へとたどり着いた経緯がそうさせるのだろう。毎日のように、クラブの練習場に居残って、トレーニングとケアに最善を尽くしてきた。そうした不断の努力は「W杯で試合に出るため」のものだった。その目標はかなった。だが、彼は上り詰めた先の階段で、素早く次の道を見つけたのだ。今度は、「W杯で活躍するため」だ。それは、いまの森重の新たな揺るぎない目標となっている。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
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