チェルシーの名物オーナー、2860億円でクラブ売却検討 その背景にある二つの理由
黄金時代を築いた名物オーナーのアブラモビッチ会長、すでに買い手を物色中と英紙報道
チェルシーのオーナーを務めるロシア人のロマン・アブラモビッチ会長が、チェルシーを売却する可能性が浮上している。英紙「デイリー・メール」が報じた。
“石油王”とも呼ばれるアブラモビッチ会長は2003年にチェルシーを1億4000万ポンド(約200億円)で買収。その後も潤沢の資金力を背景に、プレミアリーグとFA杯をそれぞれ5度制し、2011-12シーズンにUEFAチャンピオンズリーグでビッグイヤー(優勝トロフィー)を掲げた。それまでプレミアの中堅クラブにすぎなかったチェルシーが、世界的なビッグクラブとしての名声とタイトルを手にできたのは、名物オーナーの存在なくして語ることはできないだろう。
しかし、ここにきて蜜月の時に終止符が打たれようとしている。提携する米ブティック型投資銀行の「レイン・グループ」とチェルシーの売却話を進め、すでに買い手を物色しているようだ。驚くべきは、その売却額で20億ポンド(約2860億円)に設定されているという。
売却を検討している背景には、二つの理由が存在する。現在、イギリスとロシアは今年5月に起きたロシア人のスパイ殺人未遂事件の影響で緊張関係にあり、アブラモビッチ会長の英国ビザの延長ができない状況にある。そのため、同会長が進めていたスタンフォード・ブリッジ拡大に向けた、5億ポンド(約715億円)の投資も見送られることになった。
さらに、チェルシーを超える資金力を持つマンチェスター・シティが近年は大型補強を見せ、昨季圧倒的な強さでリーグ優勝を飾ると、カラバオカップとの2冠も達成。ジョゼップ・グアルディオラ監督の下で黄金期を築こうとしており、チェルシーの存在感が薄れている点も理由に挙げられている。
アブラモビッチが、チェルシーから手を引くことが正式に決まれば、一時代の終焉となりそうだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)