なでしこの選手層に厚みをもたらす存在 京川が放つマルチな才能

青いユニホームへのこだわり

 なでしこジャパンのMF京川舞は、東アジアカップに向けて、マルチな才能を発揮しようとしている。所属するINACでは、トップ下などでプレーし、なでしこリーグで今季7ゴールを挙げて得点ランキング3位につけている。その京川だが、今大会に向けた実戦形式のトレーニングでは左サイドハーフだけでなく、左サイドバックでもテストされていた。「慣れないポジションをやったりしているので、色んな選手に聞きながら」プレーしていると言い、まずは新しいポジションに順応することが必要になっている。
 佐々木監督にとってサイドバックが悩みの種であるのは間違い なく、過去にも川村優理(仙台)や永里亜紗乃(ポツダム)のコンバートが試みられてきた。「チームでサイドバックの選手がどうやっていたかというイメージでやった」という京川がフィットすれば、左サイドからの攻撃が分厚いものになると期待されている。
 元より、相手のバックラインの裏への飛び出しには目を見張るものがあり、「相手の裏を突くような走りをしたい」という言葉通り、サイドでスピードを生かすことができれば、なでしこジャパンの今後を見据えた上でも面白い存在になる。
 それでも、大会への意気込みを問われれば、ストライカーとしての血が騒ぐ。
「ゴールという部分で結果を残し、ハードワークして守備にも攻撃にも貢献したい。泥臭いゴールが多いけど、そ れが自分の長所でもあるので、代表でも見せたい。なでしこジャパンに入りたい気持ちは強い。スタメンで出て、個人としてもチームとしても良いゲームにしたい」
 女子サッカーの名門常盤木学園から12年にINACへと加入し、開幕4試合で5ゴールといきなりのブレイクを果たした。しかし、同年に日本で開催されたU-20女子W杯は、エースと期待されながら大会前に左膝に全治6カ月以上の重傷を負って出場を断念。その間、「ヤングなでしこ」と呼ばれて躍進し、3位に入賞したチームメートをよそにリハビリに励んだ過去がある。
 それだけに、青いユニホームを着て世界の舞台で活躍することへの渇望は強い。与えられたポジションはゴールから遠くなるかもしれないが、それでも得点にこだわる姿勢は変 わらない。ポジションに柔軟性がある京川が主役級の活躍を見せることで、なでしこジャパンの層は大きく厚みを増すはずだ。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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