リオ五輪を目指すなでしこジャパンの恐るべき切り札

タイ出身の異色ストライカー田中が東アジアカップで定位置目指す

 なでしこの新ストライカーとして、タイ出身の異色のストライカー田中美南(日テレ)が名乗りを上げている。
 母親の母国タイで誕生した田中は誕生まもなく帰国し、日本で育った。日テレの下部組織であるメニーナに加入すると、メキメキと頭角を現し、2010年のU-17女子W杯準優勝にも大きく貢献した。
 田中の武器は、相手DFの裏を取るスピードとシュートだ。特にシュート力は絶対的なパワーを誇り、なでしこリーグ戦では相手GKの手を弾くようにして決めることが少なくない。今季のリーグ戦では8ゴールを挙げ、ランキング2位につけている。2013年のアルガルベカップではA代表デビューも果たし、すでに1ゴールを決めている。愛知県内での合宿に参加中の田中は久々のなでしこジャパン復帰に「すごいレベルの高い中でやらせてもらって、色々と勉強させてもらっています」と、謙虚な言葉を残した。
 もちろん、期待をされるのも自身が強く意識するのもゴールだ。特に初戦で対戦する北朝鮮は浦和MF猶本光と共に選出された13年アジアU-19女子選手権で、勝てばU-20女子W杯への出場権を獲得する状況で迎えた最終戦で対戦し、スコアレスドローに終わり世界への切符を逃した宿敵だ。それだけに、「その時に勝てなかった思いもある。同年代の選手も多いし、絶対に負けたくない思いでやる」と、勝利への強い決意を表明している。
 田中は21歳にして日本女子サッカーにおける名門中の名門である日テレのエースだ。海外組も含めたなでしこジャパンでエース格の大儀見優季(ヴォルフスブルク)や、ドイツへ活躍の場を移した永里亜紗乃(ポツダム)の後継者でもある。それだけに、なでしこジャパンのストライカーへと上り詰めることが期待される存在なのは間違いない。
「ここに選ばれて、まずはリオ(五輪)へのスタート地点。次につなげなければ意味がない。しっかりアピールしたい」決然と語る田中がゴールラッシュを見せれば、なでしこのタイトル奪取はグッと近づく。そして、来年のリオデジャネイロ五輪、20年の東京五輪へと、田中の夢は大きく広がっていく。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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