【W杯詳細分析・イングランド―イタリア】ピルロが見せた驚異のパス成功率とイタリアの変幻自在な戦術がイングランドを凌駕

前半から後半にかけてポゼッション率が変化

 

 そのようなピルロ中心の高いポゼッション率でイタリアが前半を圧倒したが、イングランドも牙をむいた。前半37分イタリアボールを奪った直後、ここまであまり目立たなかった左サイドで待ち構えていたルーニーへ縦パスを通した。それを受けたルーニーはピンポイントの高速クロスを中央に飛び込んできたスターリッジに合わせてゴールを奪った。

 前半残り10分を切った時間帯での、エース・ルーニーのお膳立てによる同点ゴールは嫌でもチームを盛り上げる。喜び過ぎたイングランドベンチのスタッフが怪我をするおまけつきだ。そうして前半を終える。

 後半に入ると前半の勢いそのままにイングランドが攻勢をかけてきた。

 そして前半のポゼッション率がイタリアとイングランドが逆転した瞬間、イタリアの素早い攻撃から右サイドハーフのカンドレーバのファーサイドへのクロスを、バロテッリが少し戻りながらもイングランドゴールに叩き込んだ。その後のイタリアは攻め急がず回す時はしっかりとボールを保持し、時折ピルロからの縦パスで攻撃のスイッチを入れる展開が続く。前半と後半が別のチームになった状況を見てみよう。

 イングランド×イタリア前半

 2つ目のイラストは前半のプレーエリアとポゼッション率を示したイラストだ。若干、イングランドゴール前でのプレーの方が多いが、ほぼ均等にそれぞれのゴール前でプレーしている。ミドルエリアでのプレーは60%弱だ。こうしたプレーエリアでイタリアは三分の二近いボールを支配していたわけだ。

 

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