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【W杯詳細分析・イングランド―イタリア】ピルロが見せた驚異のパス成功率とイタリアの変幻自在な戦術がイングランドを凌駕
一方イングランドはエースのルーニーがこの大会では594分間でノーゴールというのが気になる点だった。
試合はイタリアが1対1で迎えた後半の開始早々にバロテッリの決勝点で勝利を収めた。その試合データからイタリアの強さの秘密を分析してみたい。
イタリアといえば“カテナチオ”と表現される固い守備が特徴のチーム“だった”。しかし前回大会未勝利のままグループステージを敗退したことを受け、守備に重きを置いたスタイルの抜本的改革を行った。改革の担い手はセリエAフィオレンティーナを躍進させたプランデッリ監督だ。改革は順調に進み2012年のEUROでは準優勝を遂げた。その攻撃的サッカーの片鱗は昨年のコンフェデレーションズカップで4対3と激闘を制した日本代表戦を思い出して頂ければと思う。
前半のポゼッション率はイタリア65.5%、イングランド34.5%だった。パスの本数はイタリア382本(成功率93.2%)、イングランド196本(86.2%)とイタリアはほぼ倍の数のパスを失うことなく回していた。
その中心はピルロだ。前半だけで70本、しかも決して低い位置だけでボールを受けてさばいていたわけではない。70本のうち37本を相手陣内で配給していた。そんなピルロのパスの成功率はなんと96%だ。
ピルロのタクトが振られた位置はセンターサークル中心に大きく広がっている。彼がいかにこのゲームで影響を与えたかはイングランドの中盤の中心選手ジェラードと比較すると分かりやすい。
最初のイラストはジェラードとピルロがそれぞれプレーした位置を一つ一つドットで示したものだ。プレーエリアの広さと関わりの多さが分かってもらえると思う。