【W杯詳細分析・日本-コートジボワール】データから浮き彫りとなった日本の敗戦の要因とザッケローニ監督へのメッセージ

日本人選手の疲労が普段よりも蓄積していた背景とは

 

 この数字を見る限り自分たちのサッカーは出来ていなかったことが分かる。自分たちのサッカーが出来ない時に何が起こったか、別のデータから検証してみよう。

 この日、日本代表がマイボールの時に走った距離は33,795mだった。それに対してコートジボワールにボールを持たれた時に走らされた距離は46,258mとマイボール時より43%多く走ることになった。

 一方、コートジボワールを見ると、マイボール時の走行距離は39,687m。それ対して、日本がボールを保持している時の走行距離は32,281mとマイボール時より20%弱少なく、日本代表の約三分の二しか走らされていなかった。(データ元FIFA.com)

 ただでさえ高温多湿と言われていたレシフェの気候に加え、土砂降りの雨は嫌でも選手たちの集中力と体力を奪う。これがサッカーのデータから見た、日本代表の選手の苦しそうな表情の背景だ。

 次に日本の試合の進め方を見てみよう。試合前の選手たちのコメントから、この日の日本の意図したプレーの一部が見えてくる。

 日本の多くの選手が、「セカンドボールを奪って“自分たちのボールにする“」ことを強調していた。そしてそれが実行されていたことを示すDuals(フィフティ・フィフティのルーズボールをどちらが奪うか示したデータ)というデータを見てみよう。前半のDualsは日本代表の29勝22敗(勝率56.9%)だった。フィフティ・フィフティのどちらにも転がる可能性があるボールを自分たちのものにすることは非常に重要で、勝利を挙げた多くのチームでこのデータが相手よりも上回っている。

 しかし、それ以上に大事なことはセカンドボールで奪ったボールを相手ゴール方向に運べるか、あるいは奪われたボールを味方ゴール前に近づけさせないように素早く奪い返しているかというプレーだ。“自分たちのボールにする“だけでは不十分なのである。

 サッカーの歴史がある強豪国は、セカンドボールを奪った後のプレーの優先順位としてまず相手ゴール前に運ぶことを試みる。そうしたプレーの繰り返しがボディブローのように相手チームにダメージを与えていく。そのベースとなるDualsのデータが後半になると逆転する。日本は後半23勝26敗(勝率46.9%)と10%勝率を下げた。ボールを奪う回数が減り、たとえボールを奪ってもその後の優先順位を「しっかり自分のボールにする」日本と、ボールを奪った瞬間をチャンスと見て前へ前へと運ぶ意識の高いコートジボワールとの優先順位の考え方の差は、この試合における日本のダメージをさらに大きくしていった。

 

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