アジア大会初黒星のU-21日本代表 英国人記者が指摘、失意の中の「二つの収穫」とは?
メンバー変更で浮き彫りとなったチーム内での実力差
U-21日本代表は19日、インドネシアで開催されているアジア大会の男子サッカー、グループリーグ第3戦のベトナム戦に0-1で敗戦。今大会初黒星を喫して2勝1敗となった日本は、グループDで2位通過となり、決勝トーナメント1回戦ではグループE1位のU-23マレーシア代表と対戦することになった。
これまでワールドカップを6大会取材し、“アジアサッカー通”としても知られる英国人ジャーナリスト、マイケル・チャーチ氏の目に、U-21日本代表の今大会初黒星はどのように映ったのか。不甲斐ない敗北のなかで、森保一監督が見出した選手温存と後半から投入した司令塔の躍動という「二つの収穫」を指摘している。
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アジア大会に日本代表チームが参加する時、常に鍵となる要素がある。それは「実験だ」。森保一監督の視界には、2年後の東京五輪が常に存在している。2020年には最強の相手と互角に戦い、凌駕するためのチームを作りたいという野心がある。
森保監督は16日のパキスタン戦の勝利(4-0)からスタメンを7人変更した。すでにグループリーグ突破を決めている日本にとっては十分な特権と呼べる。そこで、初戦のネパール戦で辛勝した躍動感に欠いたメンバーを大量に送り出した。
この試合のスターティングメンバーは、特に前半の45分間、脆弱なパフォーマンスを見せた。失点の場面はGKオビ・パウエルオビンナの拙いパスを、MF神谷優太がコントロールできずに失うという二つのミスが重なったものだった。
そして、今回温存された8人はいずれもフィールドプレーヤーだった。ベトナム戦での先発メンバーから著しい空白を感じさせたのはMF松本泰志だ。彼の不在は前半に痛かったと感じた。パスの配球というだけでなく、相手の3バックに対する冷静沈着なアプローチができなかった。
今大会、日本の中盤で堂々たる配球を見せていた松本を、森保監督は後半に投入した。試合の主導権を奪還しようとする狙いだった。彼の運動量、パスのレンジとクオリティーの高さで、試合の流れを呼び込むことができた。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。