U-21日本代表内の「“実力差”こそ何よりの収穫」 英記者が見たアジア大会初黒星の意味
スタメンを大幅に入れ替えベトナムに0-1で敗戦
U-21日本代表は19日、インドネシアで開催されているアジア大会の男子サッカー、グループリーグ第3戦のベトナム戦に0-1で敗戦。今大会初黒星を喫して2勝1敗となった日本は、グループDで2位通過となり、決勝トーナメント1回戦ではグループE1位のU-23マレーシア代表と対戦することになった。
これまでワールドカップを6大会取材し、“アジアサッカー通”としても知られる英国人ジャーナリスト、マイケル・チャーチ氏の目に、ベトナム戦でのU-21日本代表はどのように映ったのだろうか。試合を見た同氏は、A代表との兼任監督を務める森保一監督が今回招集したメンバー20人の中で、「大きなレベルの差が存在する」とチーム内格差の顕在化を指摘している。
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アジア大会に日本代表が参加する時、常に鍵となる要素がある。それは「実験だ」。森保監督の視界には、2年後の東京五輪が常に存在している。2020年に最強の相手と互角に戦い、凌駕するためのチームを作りたいという野心がある。
日曜日(19日)午後のベトナム戦で、彼は再びメンバーの大幅入れ替えに出た。ネパールとパキスタン相手に連勝し、すでに決勝トーナメント進出を確保していたからだ。森保監督は選手のローテーションを行い、この試合に先発の座をアピールする立場の危うい選手にチャンスを与える狙いで望んだ。
そして明らかになったことがある。(第2戦で)パキスタンを倒した森保監督のチームと、ベンチメンバーと位置付けられる選手には、残念ながら大きな差が存在するということだ。
軟弱な前半のパフォーマンスで日本は序盤にリードを許した。GKオビ・パウエルオビンナの拙いパスを、MF神谷優太がコントロールミスを犯した。ここで、この試合唯一のゴールを許し、ベトナムに対して自分たちの実力を証明することができなかった。
パク・ハンセオ監督の率いるベトナムは、序盤のリードを守る術を熟知している。それは今年中国で行われたAFC U-23選手権のファイナルに進出した際に証明していた。日本の最終ラインの序盤に見せた脆弱さは、東南アジアのチームに格好の状況を作り出してしまった。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。