「モウリーニョ解任」へ運命は動き始めたか マンUとの“最悪な相性”が生む疑念と確執
開幕戦後に露見したポグバとの確執
確かに超ビッグクラブの監督は困難極まる役職だ。しかも名実ともにイングランド最強で、歴史的な名監督が長年“超攻撃的スタイル”で牛耳ってきたユナイテッドの監督となれば、その重圧は想像を絶する。
もちろんモウリーニョの履歴は、名門ユナイテッドの監督にふさわしい。しかしそれは表面的に現れた字面を当てはめたもので、サッカー的な純粋な相性となると、これは正反対とも言え、最悪の部類に入るのではないだろうか。
モウリーニョを成功へ導くには、選手が一体となることは当然ながら、経営陣、そしてサポーターも一丸となって彼のやり方を支持する。そういう覚悟が不可欠だろう。
もしくは経営陣がクラブの伝統を踏まえ、実績だけでなく、ゴールを量産できる攻撃的サッカーを標榜し、実際にそれを実現できる監督を“次こそは”連れてくることだろう。
その両極端な二つの選択肢を考えたところで、レスターとの開幕戦後にポグバの「ハッピーでなければ、最高の自分を発揮できない」という発言が、英メディアで大きく露出した。これは明らかに、モウリーニョとの確執を示唆している。
開幕戦で主将に任命され、先制点を奪い、献身的にモウリーニョのスタイルを遵守してチームを勝利に導いたと見られたポグバだが、どうやらその本心は違うところにあるようだ。
こうなるとやはり、ユナイテッド再生のためには選手、クラブ、サポーターが一丸となってモウリーニョを支持するという道よりも、早ければ今シーズン中にも、もう一方の道が選択される可能性が浮上すると見る。
(森 昌利 / Masatoshi Mori)
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。