「モウリーニョ解任」へ運命は動き始めたか マンUとの“最悪な相性”が生む疑念と確執

マンCに「勝ち点19」差をつけられた昨季2位の実績強調

「我々は昨季2位のチームだ。それが最近の報道では、まるで降格してしまったチームのようだ。私自身プレミアで3回優勝しているが、昨季の2位は私のイングランドでの業績の中でも大きなものだ」

 確かに英メディアは今季、王者マンチェスター・シティの対抗馬として、昨季CL準優勝を果たし、ブラジル代表GKアリソンを獲得して大きな穴と言われたGK補強を成し遂げたリバプールを一番手に指名した形になっている。一方、補強が思うように進まず、プレシーズンは不調。さらにはW杯で存在感を見せつけたポグバとの確執が噂されるモウリーニョのユナイテッドはすでに優勝争いの蚊帳の外という扱いで、それが前述した「BBC」のアンケート結果にも反映された。

 しかしそんなネガティブな状況でも、昨季4位のリバプールがすでにユナイテッドを飛び越えてしまったかのような報道は、モウリーニョにとって面白くない。この発言の中で闘将が「2位」を連発しているのは、そういう思いが表面化したものだろう。

 しかし、昨季はシティがプレミアリーグ史上初の勝ち点100を記録し、ぶっちぎりの優勝を達成している。2位以下は団子状態。それが実情で、勝ち点「81」の2位を“大きな業績”と持ち上げられても困る。

 もちろん、常勝を義務付けられたユナイテッドが「トロフィーなし」のシーズンを送ってしまったのはまずい。しかし曲がりなりにもリーグ2位となって、強豪チームにとってCL出場権を得られる「最悪4位確保のノルマ」は達成している。

 つまり本当の問題はそこ、成績ではない。

 それでは何がモウリーニョをここまで追い込み、彼がなぜ過剰なほどの自己弁護を重ねるのか。その答えは開幕戦のスタンドにあった。

森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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