「森保監督が“何か”を学べたか疑問」 英国人記者が見たU-21日本、“無風”の大会2連勝
アジア通のマイケル・チャーチ記者、アジア大会パキスタン戦の日本を分析
A代表との兼任監督を務める森保一監督が率いるU-21日本代表は、インドネシアのジャカルタで開催されているアジア大会で、14日のグループリーグ初戦ネパール戦(1-0)に続いて16日のパキスタン戦でも4-0の勝利を飾った。2連勝で決勝トーナメント進出を確定させている。
ワールドカップを6大会取材し、アジアサッカー通としても知られる英国人ジャーナリスト、マイケル・チャーチ氏の目にパキスタン戦でのU-21日本代表のプレーはどのように映ったのだろうか。試合を見た同氏が特別寄稿。4得点を奪う一方的な展開となったが、対戦相手のレベルを踏まえると収穫は少なかったと指摘している。
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パキスタンはアジア大会のノックアウトラウンド進出を目指す日本にとって、大きなチャレンジとなり得る相手ではなかった。
南アジアの国を相手に4-0で快勝し、森保一監督はメンバー構成を洗練させることができ、この先に待つより厳しい戦いに向けた準備をすることができた。
(第1戦の)ネパール戦は控えめな1-0の勝利で終えた。一方的に攻めながら自陣を固める相手を攻めあぐねてしまう――こうした試合展開は、アジア大会のような舞台でこのレベルのチームを相手にした際に、十分予想できるものだった。森保監督は前の試合から選手を8人入れ替え、さらに中2日の時間があったことで、彼のチームはより団結し、滑らかさを手にしたと思う。
とはいえ、ネパール戦の勝利のように、この快勝劇によって森保監督が“何か”を学ぶことができたのかは疑問が残る。パキスタンが日本を相手に示した脅威は最小限だったからだ。
2連勝を飾り、次のラウンドに駒を進めたこと以外で良かった点と言えば、パキスタン戦の後半に途中出場した控えGKのオビ・パウエル・オビンナ(流通経済大)を除いた他の選手たちを、1試合は先発で起用できたことだろう。森保監督はこれからグループDの1位通過をかけて、同じく2連勝で突破を決めたベトナムとの第3戦(19日)に向けたアプローチを決断しなければならないだろう。
[記者PROFILE]
マイケル・チャーチ。英「PA通信」のアジア支局長、AFC機関紙「フットボール・アジア」編集長を歴任。ワールドカップとアジアカップをそれぞれ6大会取材したスポーツジャーナリスト。かつては東京在住で、現在は香港に拠点を置き、アジアサッカーを20年間カバーしている。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。