「本来の最大値は…」 “トーレス効果”の理想と現実、鳥栖の元代表MFが吐露した葛藤とは?
「選手たちはフェルナンドの生かし方は分かってきている」
トーレスは現在、カウンターに転じた際に前線でターゲットマン役を担う。後方からのロングボールを競り合い、足もとに収めてからワイドに展開するなど、ビルドアップにおける前線の基準点として機能。もっとも、トーレスが欧州でゴールを量産してきた本来のプレースタイルは、連動したパスワークから裏に抜け出す、スペースを活用した動き。今の鳥栖は、トーレスの強みを理解しながらも、勝利を最優先とした“割り切りの戦術”を採用せざるを得ないのが実情である。
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「彼は収めてくれるので、チームとしてはその役割を任せているが、本来は異なる部分が彼の最大値だと思う。とはいえ、チームの現状として残留争いを強いられていて、どれだけリスクを負わないかが重要なので、どうしてもみんなが下がり気味になる。
ボールを奪ってロングカウンターが戦術になるなか、それが上手くいかない際の遅攻で、縦パスを入れて持ち味を発揮してもらうべきだが、守備にエネルギーを費やしすぎてそこまで運べていない。それはまだ理想の段階で、今は残留に向けて失点をゼロにするのが主題なので、そこを崩すべきではないと思う。ただ、選手たちはフェルナンドの生かし方自体はちゃんと分かってきている」
鳥栖は現在15位だが、プレーオフ圏内の16位名古屋グランパスと勝ち点22で並ぶ状況。熾烈な残留争いを強いられているなかでは、堅守を徹底することを最優先に据えている。同時期にヴィッセル神戸に加入した元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタは2戦連続のゴラッソで話題を呼んでいるが、トーレスとでは置かれている環境が大きく異なる。トーレスの真価を発揮させるには、まずはチームが安定した戦いを見せることが必要だろう。
(FOOTBALL ZONE編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)