ハリルジャパンに5選手供出の浦和監督 東アジア杯日程問題に苦言
真夏の超過密日程に「監督としてはチームを強くする上で難しい」
ハリルジャパンに5選手を送り込んだ浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が8月の東アジアカップ中国大会の日程に対して苦言を呈した。
25日のリーグ名古屋戦へ向けた前日の記者会見の席上で、ペトロヴィッチ監督は「もちろん、浦和レッズから5人の選手が代表に入ったのは喜ばしい。自分の指導した選手が代表チームに入るのは嬉しいことだ」と、教え子たちの代表選出には素直に祝福と喜びの言葉を語った。その上で、クラブを預かる指導者として問題視したのはその日程である。
「東アジアカップをやっている期間、5人の選手がチームにいない中で練習を重ねていき、彼らは次の公式戦(8月12日のリーグ新潟戦)の2日前に帰ってくる。実質、1日で彼らとチームは次の試合に向けた準備をしなくてはいけない。そこには、監督としての難しさがある。日程は私自身、受け入れていくしかないが、監督としてはチームを強くしていく上で難しいものだと思っている」
ただでさえ、暑さの厳しい時期だ。そこにきて、25日の名古屋戦、29日の甲府戦と中3日の連戦が組まれている。その後、ハリル監督がメンバー発表会見で「1日しかトレーニングする期間がない」という慌ただしい移動を挟み、8月2日から9日までの8日間で3試合を消化するタイトな大会スケジュールだ。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は記者会見で中国のピッチ状態の悪さや高温多湿の気候など劣悪な環境に対して危惧する声を上げていた。
代表選手は10日の帰国直後、12日のリーグ戦が待っている。そして、またも中3日で16日にもリーグ戦が組まれる過酷すぎるスケジュールである。
「彼らが抱えてくる疲労度を考えれば、もしかしたら(新潟戦に)起用できないかもしれないということも、計算に入れていかなくてはいけない」と、ペトロヴィッチ監督は厳しい表情で話した。
世界中を見渡しても、代表チームとクラブチームの利害は必ずしも一致しないものだ。しかし、現状ではどちらの立場からも強い不満が上がる日程になってしまっている。Jリーグ強化担当責任者会議に出席したハリル監督は、その席上で「彼らにしても私同様、リーグのカレンダーには意見を言いたいとおもっているのではないか。いろんなことを修正していきましょうとも話した」と主張している。代表にもリーグにも利が少ない現在の日程で、無理のないスケジュール作成がこれまで以上にJリーグ運営には強く求められている。
一方で、全員が国内組で臨む東アジアカップだが、ペトロヴィッチ監督はJリーグのレベルと日本人選手の能力を高く評価している。
「私は、Jリーグの日本人の選手のレベルが上がってきていると思う。Jリーグは、中途半端な外国人選手が来ても簡単に活躍できるリーグではない。日本人選手は十分に世界で戦える選手たちである。外国人選手をお金を使って連れてくれば活躍してくれるという考えは一時代前のものだと思っている」
ペトロヴィッチ監督は、2006年に広島の監督として来日して以来、Jリーグでの指導は10シーズン目になる。その間の日本サッカーのレベル向上を認めつつ、ピッチ外でのレベルアップも同時に求めている。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images