西村判定の波紋 日本人主審のPK判定で浮き彫りになった、世界2大サッカー文化の激烈な相違点

ZONE WEB

 ブラジルワールドカップ(W杯)開幕当日となった12日、現役時代はチェルシーで活躍した元ウルグアイ代表MFグスタボ・ポジェがBBCのインタビューに応じ、申し訳なさそうな神妙な顔つきではあったが、きっぱりとそう語っていた。

 W杯となると毎回だが、イングランドでは86年メキシコ大会でのマラドーナの『神の手ゴール』が必ず話題になる。英メディアは、こうした南アメリカ人のずる賢さを「汚い」となじり、撲滅しなければならない行為だと主張する。

 しかし、現サンダーランド監督のポジェは、撲滅どころか「文化」というわけだ。

 一方、あの神の手ゴールの試合、イングランドのDF陣は文字通り”殴る蹴る”の狼藉を繰り返し、マラドーナを止めようとした。けれどもこの明らかな反則も、「フットボールは男同士が体を張ってボールを取り合うゲーム」という英国男子は、当然のように容認する。

 そんなフットボール文化のイングランドで、あの西村雄一主審のPK判定を見た瞬間、背筋が凍る思いがした。

 案の定、試合を中継していたITVのアナウンサーは、「信じられない判定だ!」と、嫌悪感もあらわに一言。BBCで解説をしていた元イングランド代表MFクリス・ワドルは「very very poor」と語り、「お粗末」という意味のpoorにveryを二度も重ねて西村主審の判定を切り捨てた。

 試合後、主要英メディアにはダムが決壊したかのように、西村批判が堰を切ってあふれた。まさに感情的な見出しのオンパレードだ。「醜聞というべき判定」とBBC、ユーロスポーツのヘッドラインは「ネイマールじゃない!ブラジルの新ヒーローはユウイチ・ニシムラ」。英各紙も大部分がクロアチア代表寄りで、コバチ監督の「彼(西村主審)は力量不足」というコメントや、DFチョルカの「もしもあんな判定が続くなら、誰もブラジルと戦えない」という発言で記事をつくった。

 中でも英大衆紙デイリー・ミラーは、西村レフェリーが2010年のクラブW杯でインテルとアフリカ王者のTPマゼンベの試合で主審を務め、そこでインテルに有利な笛を吹きまくり、試合後激怒したTPマゼンベ・サポーターが暴動を起こしたと、過去の話をさかのぼって報道した。

 普通に考えたら、サッカーの試合の判定が気に食わないから暴れたというのはとんでもない話なのだが、この記事からは「暴動のきっかけをつくったレフェリーの判定が悪い」という印象が伝わってくる。

 さらに「ミラー」紙は、電子版内で「今後も西村レフェリーはW杯で審判を続けるべきか」というアンケートまで実施。残念ながら79%の読者が「続けるべきではない」と答えた。

 

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