物静かな男の決意 興梠が4年ぶりの代表に懸ける熱き思い
ハリルジャパ ンの救世主に
ハリル監督が「素晴らしい試合をしたと思っている。そして31本シュートを打った。19回ほどの決定機も作った」というシンガポール戦の攻撃陣も、興梠の目には素晴らしいものには映っていなかったという。浦和でのプレーを見ても、ゴール前に張り付いて「俺によこせ」とばかりにプレーする選手ではない。労を惜しまずに中盤に降りてボールを受け、味方にスペースをつくる。42得点とリーグ最多得点の浦和にあって自身のゴール数は8だが、貢献度という意味ではそれをはるかに超えるものがある。
それは「この選手を使っていると、チームがたくさん点を取れるというのが理想」という興梠の言葉に象徴されている。
4年前の選出時は鹿島に所属。当時は、2トップの一角と してプレーしていたが、13年に浦和に加入すると1トップに定着した。自身の変化について、「一番の変化はポストプレーだと思う。背負いながらのプレーが浦和に来て多くなったので、鹿島にいたころとはプレースタイルが変わった」と認識している。ハリル監督が「非常に面白い選手。いろんなオーガナイズでプレーできる。1人でも2人でもプレーでき、サイドでも真ん中でもプレーできる」と評価するが、興梠自身は「自分としては1トップでやってきているので、そこで出たいという思いがあるし、アピールしていきたい。得点にはそんなにこだわらず、攻撃の面で起点になってうまくさばいていきたい」と、あくまでも中央でのプレーを希望している。
ハリル監督の「もっとできるんじゃないかと思っ ている」という評価を伝え聞くと、「自分自身も、もっとできると思っている」とさらなる向上に意欲。「結果にこだわってやっていきたい」と、意気込んだ。まずは、リーグ名古屋戦で、ハリルジャパンのFW争いで当面のライバルである川又堅碁の前でゴールを決め、定位置確保へのアピールとする。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images