ハリルJ初選出の柏木が決意の意思表示 「W杯に出るのが夢」
12年2月以来
東アジアカップ日本代表メンバーが23日に発表され、浦和レッズの柏木陽介が選出された。「ワールドカップ1回分くすぶっていた感じ」と本人が語るように、アルベルト・ザッケローニ監督時代の2012年2月以来、約3年半ぶりのメンバー入りとなった。
しばらく日本代表から離れている間に、「これはもう難しいな」と、メンバー発表の日程なども気にしなくなっていた。その中で、代表への思いが再燃したのは、ハビエル・アギーレ前監督が就任した時のこと。4-3-3システムの採用により、インサイドハーフは自分に向いているのではないかという考えからも意欲を見せた。しかし、その声は掛か らなかった。多くの若手選手がメンバーとして選出された時には「このメンバーで自分は入れないのか」と、こぼしたことすらあった。
それだけに、この日の午前に行われた浦和のトレーニング後も「50人の予備登録メンバーに選ばれて、見てもらえているというモチベーションはある。でも、メンバーに入らなくても落ち込むことはないし、意識することもない」と、淡々と語っていた。
しかし、16時すぎのメンバー発表で朗報は届いた。チーム広報を通じ、「東アジアカップ日本代表に選出していただき、大変光栄です。2012年以来となる日本代表に選んでいただき、とても楽しみです。2014年のワールドカップを挟み、この約3年の思いを今大会にぶつけたいと思います。チームに貢献できるように 戦ってきますので、応援よろしくお願いします」と、決意のコメント。胸の奥に秘めてきた日本代表への意欲を爆発させるべき時が、ついにやってきた。
バヒド・ハリルホジッチ監督が「運動量豊富で左利き。我々のチームに左利きは少ない」と語るように、その存在には希少価値もある。正確なキックを武器に、セットプレーでの貢献も期待される存在だ。
チームでは今季、開幕からボランチに定着。浦和のファーストステージ無敗優勝の原動力になった。個性の強い選手たちが集まる中で「黒子に徹すればいいと思っている」と、長短のパスを織り交ぜて攻撃のリズムをつくり、周囲の良さを引き出した。「自信を持ってプレーできている」と本人が語る通り、風格す ら漂うプレーを見せている。「後ろから組み立てることができれば面白い。彼もしっかり自分のクオリティーを見せる良い機会」とハリル監督も浦和でのプレーを高く評価している。
“調子ノリ世代”と呼ばれた1987年生まれの柏木も、27歳になった。30歳で迎える2018年ロシアワールドカップが、最初で最後のチャンスになる可能性は高い。柏木は「ワールドカップに出るのが夢」と語る。ハリル監督が“サバイバル宣言”をしているだけに、この東アジアカップでの活躍は国内組にとって重要度が非常に高い。「走るファンタジスタ」は、中国の地で自らの夢を勝ち取るために駆け抜ける。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images