ハリルの言葉から読む 東アジア杯で2つの命題を託す先発イレブンは?

13年大会に続く大会連覇とW杯予選に向けた新戦力のオーディションがテーマ

 

 23日、東アジアカップに臨む日本代表メンバー23人が発表された。全員が国内組で固められ、2013年に続く連覇に挑むことになる。
「まずは選手を発見したい。A代表のおそらく50パーセントほど国内組が入ってくる。次の合宿に向けて誰が効果的なプレーをするのか発見したい」
 ハリルホジッチ監督の言葉からも、今大会がW杯ロシア大会予選などで海外組が合流時のベストメンバー入りに向けたオーディションという位置付けであることがうかがわれる。
 ハリル監督はオーディションとともに結果を求めることになる。特に6月のW杯アジア予選シンガポール戦で格下相手にホームで圧倒的に優位に進めながらも0-0ドローという失意を味わった直後だけにタイトルへの執念はなおさらだろう。
 負けず嫌いで有名な指揮官は「特に最初の1試合目で勝つために見せなければならないことがある。特にメンタル面だ」と特に初戦の北朝鮮戦を重要視している。ここでは、発表会見の言葉から、誰が運命のオーディションの舞台に立つのか占いたい。
 GKに関しては東口順昭(G大阪)、西川周作(浦和)、権田修一(FC東京)の3人が全くの同一ラインからの競争になる初戦の北朝鮮戦で誰がゴールマウスを守っているのかを予想するのは非常に難しく、なでしこジャパンの女子W杯1次リーグのように、全員がローテーションして起用される可能性も十分にある。「私の信頼を勝ち取って欲しい」というハリル監督の言葉からも、激しい競争になるが、実績面では西川優位は動きそうもない。
 センターバックは「出発する前にタクティカルな練習が一度もできない」というハリル監督の言葉からも、今まで起用されてきた選手たちが中心になることが予想される。槙野智章(浦和)と森重真人(FC東京)のコンビが濃厚だろう。ハリルジャパンで出番の少ない森重の一角を崩すとすれば、最近の充実ぶりが目立つ丹羽大輝(G大阪)か。
 サイドバックのうち左サイドは、順当に行けば太田宏介(FC東京)になると予想されるが、「負傷の状態次第では、恐らく車屋紳太郎(川崎)になるが、バックアップメンバーに変更する」と言及していることからも、右太ももに故障を抱える太田の状況次第では、藤春廣輝(G大阪)の起用が濃厚となる。また、右サイドは米倉恒貴(カンバ大阪)が唯一の本職となるが。守備力を重要視すれば、湘南で3バックの右に入っている遠藤航が抜擢される可能性も高い。
 中盤は、トップ下が定位置というタイプが不在な人選となっているが、パサータイプとしてはすでにW杯予選でもプレーしている柴崎岳(鹿島)が筆頭になる。しかし、柴崎も負傷の状況次第ではメンバー交代が示唆されているだけに、その場合は約3年半ぶりに日本代表のユニホームに袖を通す柏木陽介(浦和)の起用が考えられる。ボール奪取能力に長けた選手が多く選出されたが、中でも「身長がありフィジカルやヘディングで期待している。日本代表に足りないデュエルのところのパワーも彼が埋めてくれる」とハリル監督が期待の谷口彰悟(川崎)の起用がありそうだ。また、「大きなポテンシャルがある」とハリル監督が期待をかけている山口蛍(C大阪)にチャンスが与えられることが予想される。
 前線も、まずはこれまでにハリルジャパンでの実績がある選手の起用が予想される。左には「彼がたくさんのことをもたらしてくれる。たくさんの期待をしている」という宇佐美貴史(G大阪)で、右には「ものすごいスピードがある選手」と評価する永井謙佑(名古屋グランパス)か。中央には「仕掛けてくるデュエルにフィジカルで対抗する試合になる。グラウンド状況も関係してくる」という言葉からも、フィジカルの強さが求められるだろう。その意味では、「シンガポール戦で彼がいれば、彼のフィジカルで良い影響があったかもしれない」とハリル監督が評価する川又堅碁(名古屋グランパス)がポジション争いでは筆頭になりそうだ。
 ハリル監督は「3つのシステムに応えられる選手を選んでいる。特に中盤から前は頻繁変えなければならない。DFは(3試合出るということも)予想しているが、おそらく多くの選手がチャンスを掴む」と明言しているだけに、ボランチの人数が1人と2人の2パターンに加え、4-4-2システムも頭にありそうだ。その場合は、倉田秋(G大阪)や武藤雄樹(浦和)のサイドハーフ起用や、興梠慎三(浦和)の起用が視野に入るだろう。
 指揮官はシンガポール戦で勝てなかったことの理由に決定力不足を挙げていた。「私の一番の仕事は、日本の大きな問題であるが、得点を取る選手を見つけるということ、リーグ戦で25から30点取れる選手を見つけること。A代表で出来るだけ点を取るということ」と日本サッカー界の抱える長年の課題について苦心していることを明らかにしている。
 東アジア杯でゴールを量産するストライカーが現れた場合、指揮官から主軸に据えられる可能性は高い。
 試合中のシステム変更も積極的に行う戦術家だけに、様々なパターンの日本代表が中国の地で見られそうだ。誰がオーディションに合格するのか。ハリルの眼鏡にかない、主力の海外組を押しのけるような新戦力は出現するのだろうか、大きな期待が集まる。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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