なでしこ復帰の猶本がポスト澤に名乗り 「責任を持って闘いたい」
復活を遂げた昨季
しかし昨季、猶本は見事な復活を遂げた。リーグ開幕戦で先発出場すると、30メートル以上はあろうかという距離から矢のような弾道で決めた豪快なミドルと、試合終了間際の右足ボレーによる決勝ゴールで、女王INACを破った。その後はチームに欠かせない中心選手として躍動し、シーズン終盤に負傷による戦線離脱こそあったが、浦和のリーグタイトルに大きく貢献。リーグのベストイレブンに初選出されるなど、輝きを取り戻した。
時を同じくするように、昨年はアジア カップになでしこジャパンとして選出。アジアチャンピオンに輝いたメンバーの一員になった一方、出場はグループリーグ突破が決まった第3戦のベトナム戦のみと、大きなアピールはできなかった。先日の女子ワールドカップカナダ大会の本戦メンバーに入ることもかなわず、フル代表では壁に当たっている。
その中で迎えた今回の東アジアカップは、猶本にとって大きなチャンスだ。W杯メンバーの川村優理(仙台)や田中明日菜(INAC)などライバルもいるが、与えられた「8番」の背番号からも、佐々木則夫監督の期待感がうかがわれる。1年後に迫ったリオ五輪への切符をつかみ取るまでには、阪口夢穂(日テレ)や宇津木瑠美(モンペリエ)などの牙城も崩さなければいけない。
猶本は浦和の公式サイトを通じ、「クラブの代表として、そして日本の代表として、責任を持って闘ってきます。何よりも結果にこだわって、代表チームの勝利のために精いっぱい取り組みます」と決意のコメントを発表。苦境を乗り越えて一回り大きくなった日本女子サッカー期待のボランチは、本格的に「澤の後継者」として名乗りを上げる。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images