新生「森保ジャパン」戦術考察 “選手ありき”のチーム作り、重用されてきた人材は?
五輪チームとの兼任で世代交代に待ったなし
攻撃の中心となるシャドーは激戦区だ。ただ、森保監督の使い方を見れば、一人はアイデア豊富なパスを出せる選手で、もう一人は3人目の動きを使って裏をとり、ゴールを陥れることのできるタレント、ということになるだろう。
かつての広島でいえば髙萩洋次郎の役割となる前者は、柴崎、大島、原川も候補となる。Jリーグで言えば横浜FMのMF天野純を試してみたいという欲求にも駆られる。ただ、パサーというよりもむしろゴールを狙う森﨑浩司的な選手の方が、才能の質・量は豊富だ。MF中島翔哉(ポルティモネンセ)やFW南野拓実(ザルツブルク)、浅野拓磨もやれる。U-21日本代表のMF三好康児(札幌)も候補の一人だろう。もちろん、FC東京のMF久保建英が成長すればこのポジションの有力候補だ。さらに、清水のFW金子翔太やFW北川航也も国際舞台で見てみたいタレントだ。
1トップ、つまり佐藤寿人的な役割には、ポストプレーで強さを発揮するタイプよりも裏に抜けるスピードを重視する傾向がある。FW大迫勇也(ブレーメン)も十分に候補だが、他にもFW武藤嘉紀(マインツ)や浅野、FW久保裕也(ヘント)もいる。高さはそれほど重要ではなく、シャドーのチャンスメイクを受け、しっかりとゴールできること。カウンターで一気に走り抜けてシュートまで持ち込める役割を果たせられるかが鍵となるだろう。
そしてGKだ。優れたシュートストップ能力を持つと同時に攻撃の起点となれる技術を求めるとすれば、適任はGK西川周作(浦和レッズ)か。世代交代という意味では柏の中村航輔にも期待したいが、経験を必要とするGKは深刻な人材難。J1でレギュラーをつかんでいる20代のGKは中村一人だけという状況そのものに、大きな問題がある。
広島の選手であれば、ストッパーとして佐々木やDF野上結貴、ボランチの青山やMF稲垣祥、ワイドのMF柏好文らが候補に挙がってくる。ただ、東京五輪の監督と兼務するということを考えれば、かつてのトルシエ時代のように若い選手たちを積極的に抜擢する可能性もあるだろう。いずれにしても世代交代は待ったなし。新鮮な日本代表チームが構成されることは間違いない。
(中野和也 / Kazuya Nakano)