日本代表新監督「森保一」の“人間力” 孤独な世界を生き抜く3つの資質とは?

2012年にサンフレッチェ広島の生え抜き史上初となるトップチームの監督に就任【写真:Getty Images】
2012年にサンフレッチェ広島の生え抜き史上初となるトップチームの監督に就任【写真:Getty Images】

コミュニケーション能力の高さと孤独に耐えられる強さは秀逸

 2012年、森保は広島の監督に就任する。初代ミスター・サンフレッチェの監督就任を歓迎するサポーターも多かったが、一方で監督経験がなく手腕も未知数だと心配する声もあった。ミハイロ・ペトロヴィッチという偉大な名将の後を彼が引き継ぐことに疑問視する声もあった。

 ただ、森保とは現役時代からの盟友と言っていい存在で、マネジメント事務所の社長を務める西岡明彦アナウンサーは、彼が監督に就任した当時、こんな言葉を口にしている。

「森保はやれると思う。その理由はまず、コミュニケーション能力の高さ。結果が出ないチームは得てして、選手が監督に対してストレスを感じてしまう。戦術どうこう以前にチームを乗せていけるマネジメント能力を持っているか否か。そのベースはコミュニケーションなんです。選手を萎縮させず、伸び伸びとハードワークできる雰囲気作りは監督の大切な仕事なんですが、それができる人間性を彼は持っている。

 そしてもう一つ重要なのは、孤独に耐えられる力があるかどうか、ということ。監督とは常に決断を求められる仕事であり、その決断は常に一人で行う。誰かに相談することはあっても、決めるのは監督なんです。自分の哲学に従って迷いなく決断する必要があるのですが、自信がない人ってそこでいろんな人に頼ったりしてしまう。でも、森保はそういうことはしない強さがある。そういう力が、監督には必要なんですね」

 その力は確かに、広島時代にも発揮された。例えば不世出のストライカーである佐藤寿人やピッチ上の監督と言われた森﨑和幸、さらにミハエル・ミキッチのような大立者をメンバーから外す。そういうクラブレジェンドを外すという決断は、そう簡単にできることではない。

 あるいは2014年のようにチームの守備を立て直すために一時、戦術を一気に守備的に振った時も、チーム内外から相当な批判を浴びた。この決断が是になるか否となるか、結果は分からない。だが、結果はどうあれ、森保は監督として決断した。結果に対する責任は自分が背負うという微動だにしない哲学があるからこそ、彼は孤独のなかで決断する。練習では試合に出ない選手たちにも声をかけ、思いを聞く。そういうコミュニケーションを欠かさない一方で、決める時は一人だ。

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