J1広島、首位快走の陰に「青山中心論」あり 主将の“成熟”に見える新たな強みとは?

たとえアシストを重ねていないとしても、青山は紛れもなく広島の攻撃を構築している【写真:Getty Images】
たとえアシストを重ねていないとしても、青山は紛れもなく広島の攻撃を構築している【写真:Getty Images】

4-4-2の中で守備で主導権を握り、青山が攻撃を構築

 宮崎キャンプから指揮官は、アンカーシステムから4-4-2に主戦システムを変更する。FWの選手たちが軒並み状態も良く、「高レベルのベーシック」を表現するために指揮官が選択したシステムだ。

 だが、4-4-2になっても青山の役割は変わらない。前に行くのは稲垣。ボールハントとしては日本人屈指の能力を持つ彼が圧巻のプレスを仕掛ける。彼が取り切らなくてもいい。青山がしっかりとそのセカンドボールを狙って正しい立ち位置を取ればいい。稲垣が走るために前の選手が相手のプレーを限定するために走っているわけで、その基本は守備時の良い立ち位置だ。それができていなければプレスをかけた時のバランスが崩れる。追い詰めて、追い詰めて、追い詰めて、最終的にボールを奪う。論理的な守備があればこそ、「守りで主導権を握る」ことができる。

 青山が最後に回収するのが理想的なのは、前述の問題である奪った後の攻撃のところだ。もう一度、奪い返そうとする相手の激しいアタックを柳のように受け流し、ボールを相手に渡さない。時には後ろ、時には横。キープと見せかけて、一発の裏、そしてサイドチェンジ。以前のような「とにかく勝負」というスタイルから大きな成長を遂げた。爆発的なパワーを発揮した以前が青年期だとすれば、今の青山は成熟した大人だ。

 彼がいるからこそ、広島は15試合22得点とゴールを重ねた。たとえアシストがそれほど数を重ねていないとしても、ラストパスがチームベスト5に入っていないとしても、紛れもなく青山が広島の攻撃を構築している。

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