J1広島、首位快走の陰に「青山中心論」あり 主将の“成熟”に見える新たな強みとは?
森﨑不在のなかで、青山に植え付けられた“違う役割を担う”とのメッセージ
そこで存在感を増幅させる選手が青山だ。
実は青山は、決してボールを保持することをストロングとしてきたタイプではない。いつも隣には、パス成功率95%超えを誇る「ミスター・ポゼッション」のMF森﨑和幸がいた。難しい状況になった時は森﨑を探し、預けていれば問題にならない。青山はむしろチャレンジするタイプ。リスクを負って危険なプレーを選択するスタイルが際立ち、その姿勢があるからこそ高く評価されているわけだ。
だが、今は森﨑がコンディション不良で不在。厳しい相手の圧力をしのいでボールを保持し、マイボールにできるタレントはそうはいない。思い浮かぶのは柴﨑や川辺だが、彼らにボランチとしての守備の強度を期待すると、ストロングポイントが消えてしまう。稲垣のインテンシティーは高いが、ボールをつないだり保持するような選手ではない。青山しかいないのだ。だから指揮官は、青山をアンカーで試した。それは一つの意識付け。今までとは違う役割を担うんだというメッセージだった。
この指揮官の判断は、青山の「今」とピシャリと適合した。
「身体が思うように動かない」
昨年来、抱えていた悩み、苦しみ。そこから自身の肉体が改善されるとは思っていなかった。だったら自分のスタイルを変化させないといけないのではないか。そう感じていたこともあり、青山は指揮官からのメッセージを受け止められた。実は、アンカーには稲垣が起用されたこともある。しかし彼はどうもアンカーが似合わないし、上手く機能しない。前に出る、走ることをストロングポイントとする稲垣には中盤の奥底が似合わない。やはり、青山しかいないのだ。