J1広島、首位快走の陰に「青山中心論」あり 主将の“成熟”に見える新たな強みとは?
城福監督の初期構想は青山の「アンカー起用」だった
サンフレッチェ広島はワールドカップ中断期間前のJ1リーグ戦を12勝1分2敗の首位で駆け抜け、2位FC東京に勝ち点9差をつけて後半戦を迎える。今季からチームを率いる城福浩監督の初期構想は、MF青山敏弘の1ボランチだった。フォーメーションは4-1-2-3。FWパトリックの1トップでウイングにFW渡大生やFW工藤壮人、MF柴﨑晃誠やMFフェリペ・シウバ、MF柏好文を据える。そして中盤は青山をアンカーに置いてインサイドハーフにMF稲垣祥とMF川辺駿を置く形だ。キャンプ合流が遅れたFWティーラシンもウイングで試されたことがある。
もちろん、その後に指揮官は様々な試行錯誤を繰り返し、今の形に落ち着いた。4-4-2のオーソドックスなフォーメーションで、青山は稲垣とのダブルボランチ。サイドハーフを置いて両翼で数的不利を作らない。前からの守備を仕掛け、全体をコンパクトにする。極めて普通だ。だが、その普通を「高いレベルのベーシック」をキーワードにして徹底し、アグレッシブかつインテンシティーの高いチームスタイルを構築した。
これまでの広島とは違うスタイルではある。だが、広島のコンセプトである「主導権を握るサッカー」は、実は変わっていない。たとえボール支配率は45%程度であったとしても、主導権は広島が握っている。攻撃ではなく、守備で相手を支配しているのである。
敗れたとはいえ、リーグ第15節のセレッソ大阪戦(0-2)でも広島は守備でまず主導権を握った。いつもと同じようにインテンシティーの強さを発揮しつつ、相手のプレーを限定させ、ボールを意図通りに奪い取る。高い位置でも低い位置でもコンパクトさを貫き通し、相手の強力なアタッカー陣を封じ込める。特に前半は広島の意図的な守備が機能。C大阪はやりたいことができずに、選手たちが立ち尽くすシーンすら目立った。
後半、疲れが出てしまったことで「守備の主導権」を発揮し続けることができなくなり、単純なロングボールで決壊してしまったが、それは致し方ないこと。むしろ、広島がやるべきことを再確認できたという意味では、「良い試合」だったのかもしれない。