デシャンに見るフランス代表の20年 “持っている男”が取り戻させた威厳と勝利の味

決勝戦の夜、シャンゼリゼ通りは人の波で埋め尽くされた【写真:Getty Images】
決勝戦の夜、シャンゼリゼ通りは人の波で埋め尽くされた【写真:Getty Images】

マテュイディも脱帽「彼が実践することは必ず当たる」

 彼のチームで長らく主力としてプレーするMFブレーズ・マテュイディは言う。

「このチームのイメージは、デシャン監督のイメージだ。彼がこの船を先導するキャプテン。選手として、指揮官として得た経験を僕らに伝授してくれる。彼が監督で選手たちは皆幸せだ。結果が出ているのは偶然なんかじゃない。彼が実践することは必ず当たるから、僕らも脱帽だよ」

 決勝戦の夜、フランスのシンボルであるエッフェル塔前広場には9万人が集結し、シャンゼリゼ通りは人の波で埋め尽くされた。まるで1998年の優勝の時のように――。

 しかし、そこからフランス代表が歩んできた道のりは、平坦ではなかった。2002年大会は本戦直前にエースMFジネディーヌ・ジダンの負傷が響いてグループリーグで敗退。06年は決勝戦までたどり着くも、そのジダンによる“頭突き事件”もあって、PK戦の末にイタリアに敗れた。

 底辺に落ちたのは10年の南アフリカ大会だ。レイモン・ドメネク監督と選手との不和が要因となり、“練習ボイコット事件”や、ロッカールームでの罵り合いなど数々のスキャンダルが勃発。世界中に恥をさらして帰国した“レ・ブルー”(フランス代表の愛称)には、国民からの冷たい視線が待っていた。

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