デシャンに見るフランス代表の20年 “持っている男”が取り戻させた威厳と勝利の味

デシャン監督が率いたフランスは20年ぶりのW杯優勝を果たした【写真:AP】
デシャン監督が率いたフランスは20年ぶりのW杯優勝を果たした【写真:AP】

1998年W杯優勝時にキャプテンを務めていた男が、20年の月日を経て優勝監督として帰還

 初の世界制覇を果たした1998年のフランス・ワールドカップ(W杯)から20年後のロシア大会で、フランスは再び黄金の優勝カップを掲げた。

 本戦が始まる前から予感はあった。というよりも、「期待」と言ったほうが正しいが、人々は20周年の節目にあたる今年、優勝トロフィーがフランスに戻ってくるのではないかと、漠然と期待していたのだ。

 その期待を裏付けていたのは、ある人物の存在だ。1998年当時は選手として優勝カップを掲げ、今大会は監督としてフランス代表を率いたディディエ・デシャンである。

 メディアでは20年前とのリンクが大々的に語られ、会見の席でもデシャン監督に当時を振り返る質問が繰り返された。そのたびに指揮官は、「前回とは全く違う。1998年は私は選手だったが、今回は監督という立場。私の存在は選手あってのもの。私は彼らのためにいるにすぎない」と謙虚な発言を繰り返してきた。

 しかし実際には、彼が選手を選び、彼らに適した戦術を授け、自身の哲学を浸透させてピッチ上で実践させた。このチームは、デシャンのキャラクターが存分に投影された、“デシャンありき”のチームだ。

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