オランダに大敗したスペインが「人生最悪の試合」を招いた2つの弱点
前回王者のスペインに対してオランダが採った戦術は堅守速攻。本大会で結果を出すべくファン・ハール監督が採用した5-3-2のシステムの特徴としては、決して自陣深くにDFラインを設定するのではなく、高いライン取りと縦のコンパクトさを維持した状態で、特にスペインの長所である中盤の構成力を抑えに行った。
特に、デ・ヨング、デ・グズマンのダブルボランチのプレッシャーと局面での激しさはスペインのパス回しにおける縦パス、中央でのプレーを封じ込めるに十分なもので、スペイン自慢のパス回しは保持が精一杯で前進、フィニッシュのフェイズまで到達しなかった。しかし、試合巧者のスペインはイニエスタ、シルバが極端に中央にポジションを取るプレーで中盤センターでの数的優位を作り出し、守備面でもオランダのビルドアップへのプレッシングを強めた。
そこで流れをつかんだスペインはシャビのパスを受けたジエゴ・コスタがエリア内でPKをもらい先制点を奪う。43分にはシルバがGKと1対1の決定機を得るも決めきれず、逆にオランダは44分にブリントの左からのアーリークロスにタイミング良く飛び出したファン・ペルシが豪快なダイビングヘッドを決めて同点に追いつく。
1-1で折り返した後半はオランダのワンサイドゲームで結果として4点が入る45分間となるわけだが、勝敗を分けたポイントはオランダがスペインの守備における2つの弱点を徹底して突いたこと。1つは、前半の同点弾に続き53 分のロッベンの逆転弾にもつながったスペインのセンターバック2人の連係の悪さで、ピケとセルヒオ・ラモスの並びには常にズレと広いスペースが生じ、そこにポジションを取るファン・ペルシとロッベンに早いタイミングで長いボールを入れて2対2の局面を作り出すオランダの狙いが大当たりした。