なでしこ鮫島の後悔 「澤さんとあやさんにW杯を掲げてもらいたかった」
痛感したアメリカとの差
女子ワールドカップカナダ大会からなでしこジャパンが帰国した。左サイドバックとして準優勝に貢献した鮫島彩(INAC)は、今大会を「最後のW杯」と宣言していたMF澤穂希(INAC)と、主将としてチームをけん引したMF宮間あや(岡山湯郷)に優勝トロフィーを掲げさせることができなかったことを後悔した。
「あっという間だった」
約1カ月にわたる激闘の日々をそう振り返った。鮫島は準優勝に終わった今回の23選手による、なでしこジャパンに対する深い愛着を示した。
「全選手からいいチームだったね」という声が上がるほど、チームの結束力と一体感のある戦いができたからこそ、最後に大きな悔いを残した。
「いいチームだったからこそ、いい結果で終わらせたかった。澤さんにも(宮間)あやさんにもW杯を掲げてもらいたかった」
決勝はアメリカを相手に2-5と大敗。女子サッカー史上最多タイの6回のW杯出場を果たした澤。そして、責任を背負い、チームをけん引してきた宮間主将に笑顔で優勝カップを掲げてもらいたかったという。心からそう思ったが、優勝したアメリカとは大きな力の差を感じていた。
「ゲームの流れの中で自分たちがボールを支配できていい流れをつくれても、ゴール前の攻防で負けてしまう。特にアメリカの立ち上がりの勢いがすごかった。自分たちにはないと、今までも感じていたが、今回あらためて強く感じました。ゴール前の攻防の強さは、試合を決めていくのに重要だと感じました」
佐々木則夫監督は、縦に速い攻撃に取り組んできた。選手たちの頭の中にそのキーワードが強くなり過ぎて、緻密な連動と連係という本来の自分たちの強みが薄れてしまう時期があった。だが、大会が進むにつれて良いバランスが取れていくようになった。そして、なでしこジャパンの丁寧にパスをつないでいくスタイルは、世界中から大きな共感を得た。海外のメディアもこぞって「芸術的だ」「相手を走らせて生命力を奪ってしまう」と称賛した。
しかし、ピッチ上で鮫島が感じたのは、最終的に勝負を決めるのはゴール前だということだ。