「“和”を乱す人間だった」 日本代表の新監督候補クリンスマン、米紙記者が綴る人物像

ロジャース氏はクリンスマン氏について厳しい評価を下している【写真:著者提供】
ロジャース氏はクリンスマン氏について厳しい評価を下している【写真:著者提供】

不可解な戦術論、「上から目線」の口調、選手批判…

 アメリカ代表監督に就任した当初、クリンスマンはワールドクラスの舞台でも対等に戦えると連盟を口説き、自信を与えた。選手選考に関しても、平等であらゆる選手にチャンスを与えた。アメリカのレジェンド、FWランドン・ドノバンを14年ブラジルW杯の最終メンバー23人から外し議論を呼んだが、その選手選考に関するポリシーは一貫していた。

 その一方で、クリンスマンの求心力が揺らぎ始めたのが、まさにその14年W杯への道のりだった。それまで選手たちはあまり愚痴も言わず、監督に従っていた。チーム内の話もメディアや外部にリークするようなことはなかった。だが、徐々に事態は変わり始めた。

 不可解な戦術論、「上から目線」の口調、メディアの前で公然と行う選手批判……。選手や代表チームに不信感や不満を募らせるような言動が目立った。日本が大事にしている「和」を、まさに乱す人間だった。

 日本代表を率いた前任者、バヒド・ハリルホジッチがJリーグを常に欧州リーグと比較したように、クリンスマンもMLSの足りないところばかりを指摘し、アメリカサッカー界の人々を日に日に突き放したのだった。(文中敬称略)

(後編へ続く)

[著者プロフィール]
マーティン・ロジャース/英国出身。英紙「デイリー・ミラー」、米メディア「Yahoo」を経て、現在は米紙「USAトゥデー」でサッカー専門の名物コラムニスト。W杯予選などクリンスマン政権のアメリカ代表戦をほぼ全試合取材した。

(マーティン・ロジャース/Martin Rogers)



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