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今後4年間の指針が見え始めたスペイン-オランダ戦 オランダの強さの裏に隠されていた5つの「I」
オランダが兼ね揃えていた5つの「I」
ワールドカップというのはこれからの4年間のサッカーの方向性を示す大会でもある。そういう意味でこの日の試合は非常に示唆に富んでいる。スペイン代表がバルセロナ出身の選手たちを中心に2008年のEUROで優勝し、2010年のワールドカップでもその強さを維持していたことからここ数年“ポゼッションサッカー”が主流だった。
しかし、そのスペインのリーグでは打倒バルセロナを目標にポゼッションサッカーを打ち破る戦い方で結果を出したアトレティコ・マドリードが2013-14シーズンを制した。チャンピオンズリーグの決勝もレアル・マドリードとアトレティコ・マドリードの2チームが決勝まで駒を進めている。
これらの2チームに共通しているのは強烈なプレッシングから一気に前に攻め込むことを可能にするIntensity(強度の高い運動能力)だ。さらにスキルの高い相手のストロングポイントを抑え込むための情報、即ちInformationとそれを使いこなすIntelligenceだ。
また、多くのトップチームでは相手の熟成された守備網に立ち向かうために、前線に得点力に優れたストライカーや得点を演出する傑出したプレーメーカーを配置している。グループでどうしても打ち破れない相手の壁を切り崩すための突出した個、IndividualとそこでのIdeaの重要さが増してきた。
オランダ代表のファンファール監督を語る時、厳しさの面を多く言われるが実にスカウティングに長けた監督だ。オランダの伝統的な1-4-3-3のフォーメーションを変更してこの日の試合を戦った。前半は最終ラインを5枚にしながら少しでも最終ラインの守備網の網目の部分に綻びが出ないように工夫した。一方で前半を終えて、気持ち良くプレーするシャビとイニエスタを見ると同時に調子が上がらないトップのジェゴ・コスタについても見ていたはずだ。結果、後半ゲーム作りのキープレーヤーのシャビとイニエスタのパスの本数はそれぞれ30%前後減少することになる。
オランダのボールを奪った後の速さと、それを90分間持続するためのIntensity、ファンハール監督中心に徹底的に収集した情報(Information)、分析したIntelligence、またそれを実践できた選手たち、スペインを上回る個(Individual)の力とアイデア(Idea)。それらの要素を結集させた結果、オランダはスペインを打ち破ることができた。
このオランダのサッカーが今後4年の流れを作るかもしれない。これら5つの「I」をバランスよく持っているかどうか、そうした視点でこの大会を見ていきたい。
analyzed by ZONE World Cup Analyzing Team
データ提供元:opta
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで