日本サッカーと繰り返された“悲劇” 25年の時を経た「判断力」の教訓は生きるのか

ロシアW杯で得た財産と教訓をいかに次世代で生かすのか

 ただ、ベルギーの決勝点は鮮やかだった。MFケビン・デ・ブライネの高速ドリブルは反則で止めようがないほど速かったし、ルカクのスルーも驚きだった。ベルギーは交代出場の二人が同点弾に決勝点と結果を残した。

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 翻って日本である。西野朗監督は攻守両面の強化を図るため、後半36分に本田とMF山口蛍を同時投入した。延長戦に入ればもう2枚、交代カードを使うことができる。しかし、ベルギーの高さに対抗できる選手は皆無だ。さらに次に打てる有効策が、ベンチの選手を見ても思いつかないほど、両チームの総合力には差を感じざるを得なかった。

 W杯ベスト8という日本サッカー史上初の世界へ足を踏み入れるために、西野監督は余力を持ってラウンド16に臨んだ。だが、4月の就任からわずか1カ月という限られた時間での選手選考には限界があったのかもしれない。

 それでもベルギー戦は敗れたとはいえ、優勝候補を苦しめた試合は日本サッカー界の財産である。それを美化するのではなく、教訓を次世代につなげることが、ロシアW杯の成果ではないだろうか。

(六川亨 / Toru Rokukawa)



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六川 亨

1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。

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