日本サッカーと繰り返された“悲劇” 25年の時を経た「判断力」の教訓は生きるのか

終盤にベルギーの反撃を受け2-3で敗れた日本【写真:Getty Images】
終盤にベルギーの反撃を受け2-3で敗れた日本【写真:Getty Images】

ベルギー戦の逆転負けにつながった“わずかな差”

 ロシア・ワールドカップ(W杯)の日本代表は7月2日、2大会ぶり3度目となるラウンド16の舞台でベルギー代表と対戦。後半にMF原口元気の今大会初ゴールとMF乾貴士の追加点で2-0とリードしたものの、終盤にベルギーの反撃を受け、アディショナルタイムに決勝点を許し、2-3で敗れた。

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 正直、勝てた試合だったかもしれない。その一方で、チームとしての総合力はベルギーが一枚上手だったと認めざるを得ない試合でもあった。

 勝てたかもしれないと思ったのは、日本が先制した直後の後半4分にFWエデン・アザールのシュートが右ポストに阻まれたり、後半17分にはフリーのFWロメル・ルカクが決定的なヘディングシュートを左に外したりしたからだ。

「流れは日本にある」――そう感じたし、ダメ押しの3点目を奪えば勝負の趨勢は決まると思った。

 ところが後半20分、ベルギーはMFマルアン・フェライニとMFナセル・シャドリの二人を同時投入する。そして試合の流れを変えるワンプレーがあった。

 ベルギーの左CKはGK川島永嗣がパンチングで逃れたものの、自陣ペナルティーエリア左のこぼれ球を乾は大きくクリアしようとしたが、これが高く上がって自陣ペナルティーエリア右のDFヤン・フェルトンゲンに渡る。フェルトンゲンはおそらく中へ折り返そうとしたのだろう。しかし、これが絶妙なループシュートとなってGK川島永嗣の頭上を破った。

 そして、この1点で“赤い悪魔”は息を吹き返した。

 大きくクリアしようとした乾の意図は分かる。しかし、この場面では背後にクリアしてスローインに逃れるかCKに逃れ、ゲームの流れを切るべきだった。

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六川 亨

1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。

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