なでしこの次期エースに 岩渕が泣き腫らした目で誓うリオでのリベンジ

かみしめた悔しさ

 2012年のロンドン五輪決勝に続く悔し涙だった。なでしこジャパンのFW岩渕真奈(バイエルン・ミュンヘン)は、5日(日本時間6日)、女子ワールドカップ決勝のアメリカ戦で、2-5と3点差を追う後半14分にピッチへと送り込まれた。「とにかくゴールと思って入った」岩渕はピッチで奮闘したが、スコアを動かすことはできなかった。
 出場した31分間の中で、シュートを放つことはできなかった。試合終了のホイッスルが鳴り響くと、涙を流した。「実際に何も生まれていないので…」と、悔しさをかみしめていた。
 ロンドン五輪決勝のアメリカ戦の後半38分に、決めれば 同点というシュートをアメリカGKホープ・ソロに弾きだされた。そこから、岩渕の女子W杯カナダ大会が始まっていたのかもしれない。大会後にドイツに渡ると、2部のホッヘンハイムを1部昇格に導き、世界最大級の規模を誇るドイツの名門クラブ・バイエルンへと移籍した。14-15シーズンでチームの女子ブンデスリーガ制覇に貢献し、自信を胸に最高の状態でW杯に臨むはずだった。
 しかし、大会を目前に控えた5月の国内合宿で右膝を痛めた。チームがトレーニングで戦術と連係に磨きをかける中、ピッチの脇でリハビリに励んだ。1次リーグでの出場は絶望的だという診断が下されながらも、佐々木監督は岩渕を本大会のメンバーに登録した。その指揮官の信頼に応えるべく必死の治療とリハビリを続け、1次リ ーグ第3戦のエクアドル戦で復帰。今大会初出場を果たした。
 そこからは、なでしこのジョーカーとして存在感を発揮した。右膝に巻かれたテーピングの痛々しさなど気にならないほどに、スーパーサブとしてピッチ上を躍動した。準々決勝のオーストラリア戦では後半42分に決勝ゴールを挙げ、自身のW杯初得点でチームを4強に導いた。準決勝のイングランド戦も、相手に流れが傾いた中で投入されると、主導権をグッとなでしこに引き寄せた。チームに攻撃のリズムが出たからこそ、オウンゴールの決勝点も生まれた。

 

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