カナダで開花したポニーテールのボランチ 宇津木は次なる舞台を見据える
中盤に君臨した大型ボランチ
今大会、日本の背番号13はチームの中心に君臨していた。キック力 のある左足から放たれるロングパスは、攻撃の大きなアクセントになった。フランスでのプレーで強くなったフィジカルで、相手の足元からボールを奪い取った。168センチの体を生かし、相手のロングボールを弾き返した場面も多い。攻守において大車輪の活躍を見せ、全7試合中6試合でフル出場した。長らく日本の中盤を務めてきたレジェンドである澤が、ピッチにいないことを感じさせないような働きだった。その活躍はFIFAにも評価され、決勝戦の顔として大々的な特集がされるほどだった。
全てを出し切った気持ちでいるだけに、その視線は次に向かって切り替わるのも早かった。「現在が自分たちが持っているすべての力だと思うので、この結果をしっかり受け止めながら、もう一度みんなで話し合 いをしたいと思います。まだまだ手が届きそうで届かないのが現実だけど、決して無理ではないというのも今の自分たちが感じていること。継続してやっていきたいです」と、この悔しい敗戦をチームと自身の成長の糧にしたいと語った。
自身にとって、初めて本当の意味で大舞台を戦ったカナダW杯は、幕を閉じた。宇津木は「決勝にふさわしい相手と試合ができたのは、自分たちにとってすごく誇りに思うこと。チーム全員が出し切った結果が今の2位なので、相手のチームをリスペクトしたい気持ちと、まだまだ課題が見つかったなという気持ちです」と今の心境を語った。
日本女子サッカー界が待ち望んでいた大型ボランチの才能は今大会で開花した。その決勝戦直後のピッチでは阪口、熊谷と 試合の修正点を話し合う宇津木の姿もあった。次世代のなでしこの中心には、ポニーテールのレフティが君臨するはずだ。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images