日本の“ほまれ” なでしこ澤はW杯ラストダンスに「悔いはなし」

さすがの存在感

 なでしこジャパンのMF澤穂希(INAC)は、5日(日本時間6日)、女子ワールドカップカナダ大会決勝アメリカ戦に1-4でリードされた前半33分から途中出場した。試合は2-5で完敗となったが、後半7分にセットプレーのチャンスで相手DFのオウンゴールを誘発するなど、存在感を示した。
 まさかの光景をベンチから見守った。超満員のスタンドの9割を埋め尽くしたアメリカサポーターの「USA!」コールに飲み込まれた。警戒していたセットプレーからなでしこのDF陣が崩壊。大量失点を許すと、百戦錬磨の澤も表情をこわばらせた。
「失点を早い時間時間帯にしてしまった。外から見てい て、取られてはいけない時間帯に3失点してしまったのは、痛かったかなと思います」
 大量リードを許す展開に、指揮官は失点に絡んだDF岩清水を下げて澤を投入。中盤の底に鎮座し、チームに落ち着きをもたらした。そして、後半7分に「背番号10」は色褪せない実力を示した。MF宮間の正確無比なFKにヘディングで合わせにかかると、競り合ったDFジョンストンのオウンゴールを誘発した。
 だが、逆転はかなわず。試合後の澤は潔かった。「今、みんなが持っている力をすべて出し切った結果だと思います」。
 
 澤自身は、前回の2011年ドイツ大会でMVPと、得点王に輝き、日本の史上初の栄冠をもたらした。今回大会は、陰ながらチームを支え続けた。連覇はならなかったが、女子サッカー史上最 多タイの6大会連続のW杯出場を果たしたレジェンドは、すでに今大会を最後のワールドカップと明言している。
今回自分の位置付けとしては最後のワールドカップとして臨みました。本当に悔いなく自分自身はやりきったと思います」 
 同僚が号泣する中、澤の目には涙はなかった。今大会6試合出場で得点はなし。決勝トーナメントはスーパーサブとしてチームに貢献してきた。バンクーバーの空に悔いも残さず、涙もなく、全世界の注目する大舞台で、レジェンド澤がラストダンスを終えた。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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