ベルギー戦で3失点を喫した「魔の25分間」 日本代表が次世代に引き継ぐ教訓とは?

日本がW杯8強に限りなく近づいたベルギー戦、死闘の舞台裏とは?【写真:AP】
日本がW杯8強に限りなく近づいたベルギー戦、死闘の舞台裏とは?【写真:AP】

W杯8強に限りなく近づいた、日本サッカー史に残る死闘の舞台裏

「自分たちがボールキープしていて、自分のところでサイドにパスを出そうとした時にちょうど(香川)真司に当たってしまって、それでそこからミスが続いての失点になってしまった」

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 ロシア・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦のベルギー戦(2-3)後、DF長友佑都がこう振り返ったのが、1失点目のCKにつながったシーンだ。

 前半は3バックを起点にMFケビン・デ・ブライネのキープ力を活用しながらワイドに攻め込んでくるベルギーに何度も攻め込まれながらも、日本は高い位置から守備を行い、マイボールにすれば積極的に仕掛けて対抗できていた。その結果としての前半0-0は、西野監督が思い描いていたゲームプランから、そう外れていなかったはずだ。

 そして後半の立ち上がり、再び日本が積極的なサッカーを展開した恩恵が、カウンターの形となって表れた。左サイドでMF乾貴士がDFトーマス・ムニエからボールを奪い、中盤のMF柴崎岳を経由して、右サイドを駆け上がるMF原口元気に絶妙なスルーパスが通されたのだ。

「岳からいいボールがきて、切り返そうかと思ったけど、相手ががっつりくる気配がなかったので、そのまま打った感じです」

 DFヤン・フェルトンゲンの足下を破るボールを裏で受けた原口はインサイドに仕掛ける素振りを一瞬見せたが、そこから前に踏み込んで右足の内側でボールを捉えると、グラウンダーの鋭い弾道が長身GKティボー・クルトワの伸ばした手先をかすめてゴール左隅に吸い込まれた。

 さらに4分後、日本が高い位置でボールをつないだところから乾がゴール前のFW大迫勇也に入れたボールをDFヴァンサン・コンパニがヘッドで跳ね返すと、それを香川が拾い、MFアクセル・ヴィツェルのタックルをかわして乾に戻す。すると乾はファーストコントロールから鋭いミドルシュートをゴール右隅に決めた。大半が思ってもみなかったような試合展開になった。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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