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ブラジルが開幕戦を制した理由 その戦い方から見えた日本が勝ち抜くヒントとは
まず、Tactical Formation(戦術的フォーメーション)というデータからこの試合内容を振り返ってみよう。最初のイラストを見てもらいたい。
データ提供:opta
前半を狙い通りの展開に持ち込んだクロアチア
この図は、試合中各選手がボールを触った場所(パスを受けた場所、シュートした場所、クリアをした場所等全てのボールに関わるプレー)の平均の位置を示すものだ。一目見てブラジルのプレー位置が高く、クロアチアのボールタッチ位置が低いことが見て取れる。
クロアチアは豪華な中盤を擁していながらも、ブラジルの攻撃力に対抗するために、試合の立ち上がりから自陣でしっかりとブロックを作ってパスを「回させ」つつ、ゴールに近いところへの縦パスは入れさせない守備を徹底した。しびれを切らせたブラジルが長いボールを放り込んだり、縦パスを入れた瞬間のインターセプトが、彼らの攻撃のスイッチだった。奪ったボールを素早くサイドに運びカウンターアタックをしかける攻撃に徹していたのだ。
前半終了時のポゼッション率(ボール保持率)はブラジル70.2%に対し、クロアチア29.8%、パスの本数で表すとブラジル262本対クロアチア103本、パスの成功率も89.3%対68.9%とその差は圧倒的だった。
ブラジルは前半、最終ラインの4人と、図でも表れている通り低い位置でプレーしていたボランチ⑰ルイス・グスタボの5人で全体のパスの67.5%を回していた。5人の選手による180本近いパスのうちトップの⑨フレッジに通ったのはわずか2本だけ。そのデータからも、ブラジルの後ろの選手にはパスを「回させる」が、前の選手には「通させない」というクロアチアの守備戦術がいかに機能していたかが分かる。
ブラジルにこれだけ圧倒的にボールを持たれていても、流れの中からのクロスボールの数はブラジルの10本に対してクロアチアが8本とほとんど遜色がなかった。これはクロアチアが奪ったボールをいかに効率的に攻撃に繋げたかを示している。