クロアチアがPK戦の末にデンマークを破り20年ぶり8強進出 守護神スバシッチが3本セーブ
開始4分までに2ゴール生まれるも、その後は膠着
息を飲むような欧州勢対決は、PK戦の末にクロアチアが20年ぶりの準々決勝進出を果たした。ロシア・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦、クロアチア対デンマークの一戦は開始4分までに1点ずつを奪い合ったが、その後は両者ノーゴール。PK戦を3-2でクロアチアが制した。
クロアチアは3連勝、デンマークは1勝2分と、ともに無敗でグループリーグを突破してきた両者のゲームが動いたのは、開始1分と経たないうちだった。デンマークが右サイドから入れたロングスローがファーサイドにこぼれると、攻撃参加していたDFマティアス・ヨルゲンセンがプッシュ。これがゴールに転がり込み、デンマークに先制点をもたらした。今大会、試合開始からの最速ゴールだった。
しかしクロアチアも前半4分、右サイドから仕掛けた攻撃はデンマークのクリアにあうが、そのボールはデンマーク選手の顔面を直撃してゴール前にこぼれた。このラッキーなチャンスに反応したのはクロアチアのFWマリオ・マンジュキッチだった。反転しながらの右足ボレーでゴールにねじ込み、1-1の同点に追いついた。
その後は両者ともに積極的な姿勢を見せた。クロアチアはMFルカ・モドリッチとMFイバン・ラキティッチを中心にしたパスワークでゴールに迫り、一方のデンマークも攻撃の中心にMFクリスティアン・エリクセンが君臨して危険なスルーパスを供給。一進一退の試合は勝ち越しゴールは生まれず、同点のままハーフタイムに突入した。
後半に入るとクロアチアは、デンマークのプレスと撤退のメリハリが効いた守備の前に有効な攻撃を繰り出せなくなっていった。デンマークは右サイドのMFユラリー・ポールセンを生かしながらゴール前に進出する回数を増やしたが、こちらも決定機を作るには至らず、我慢比べのような時間が流れていく。
双方ともに失点すれば取り返しのつかない時間帯に入ると試合はさらに膠着し、決勝トーナメント1回戦のスタートから2日目にしてスペイン対ロシアに続く2試合連続での延長戦突入となった。
延長戦でも両者が一進一退の展開だったが、延長後半にドラマが待っていた。同9分、クロアチアの司令塔モドリッチが中盤でボールを受けると素早く縦へのスルーパスを供給。これを受けたMFアンテ・レビッチが抜け出すと、先制ゴールのヨルゲンセンがペナルティーエリア内でファウル。クロアチアにPKが与えられた。
しかし、ここで立ちはだかったのがGKカスパー・シュマイケルだった。モドリッチがゴール右を丁寧に狙ったシュートを読み切ったシュマイケルは、完璧なセービングでシュートをキャッチ。20年前の1998年フランスW杯でデンマークの正GKを務めた父のピーター・シュマイケル氏もスタンドで大きなガッツポーズ。クロアチアは千載一遇のチャンスを逃し、決着はPK戦にもつれ込んだ。
先攻のデンマークは、1人目のエリクセンがGKダニエル・スバシッチに読まれていきなり失敗。しかし、シュマイケルもクロアチアの1人目MFミラン・バデリのシュートをストップしてリードを許さなかった。さらに4人目も両GKがセーブして一歩も譲らない。そして運命の5人目、スバシッチはFWニコライ・ヨルゲンセンのキックをセーブし、クロアチアはラキティッチがゴール左に決めて決着。壮絶な試合の末にクロアチアが勝利した。
クロアチアは、準々決勝で同じくPK戦の末に強豪スペインを下した開催国ロシアと対戦する。
(FOOTBALL ZONE編集部)