スピルバーグ佐々木の脚本にもない劇的幕切れ なでしこが決勝進出

劇的なクライマックス

 ハリウッド映画にもでてこないような衝撃の幕切れだった。映画界の名監督「スティーブン・スピルバーグ」を自認する、なでしこジャパンの佐々木則夫監督は試合後、信じられない表情を浮かべていた。
 女子ワールドカップ準決勝イングランド戦は、後半アディショナルタイムの相手オウンゴールによっって2-1で勝利をつかみとった。その試合後、指揮官は「皆さんの応援によって後押ししていただいたゴールだったのではないでしょうか」と語った。
 苦しい戦いだった。体格に優れるイングランドの速攻に苦しみ抜いた。前半33分にMF宮間の冷静なPKで先制しながら も、不可解なPKの判定で追いつかれた。
「思いのほか、イングランドの動きが非常に良かったですし、相手のシンプルな展開がどうしても受けきれなくて、それをわれわれがボールを動かしてリズムを変えるというところがもうひとつできませんでした。次のファイナルは思い切ってミスを怖がらずに、しっかりと質を上げたいと思います」
 それでも、必死に耐える展開の中で一手を打った。後半25分にFW大野に代えて、切り札の岩渕真奈を投入。切れ味鋭いドリブル突破で前線を活性化。そして、ひたむきな戦いぶりで、灼熱(しゃくねつ)のエドモントンのコモンウェルススタジアムの観衆の心を動かした
 試合終盤になでしこを応援する大歓声も巻き起こり、レジェンド澤、ストライカー菅 沢の投入の準備を整えたが、交代カードを切らずに指揮官も我慢。そして、試合終了間際、FW大儀見を目掛けたMF川澄のラストパスを相手DFが痛恨のオウンゴール。巨匠の脚本を超えるようなクライマックスで、白星をつかみとった。

 

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