W杯王者ドイツの崩壊を招いた「3つの敗因」 名手リトバルスキーが見た母国の問題点とは?

主力を固定するレーブ流が、安心感を与え、チームに弛緩したムードをもたらした可能性もある【写真:Getty Images】
主力を固定するレーブ流が、安心感を与え、チームに弛緩したムードをもたらした可能性もある【写真:Getty Images】

チーム全体で「ハングリーさの欠如というものがあった」

「スイッチにはいろいろなポイントがある。ボクシングのタイトルマッチにたとえるといい。相手は挑戦者、ハングリーだ。王座を奪いにきている。相手の士気は高く、パンチもシャープだ。ドイツはいずれどうにかなる、という感じだった。(4年前に)W杯優勝という夢を叶えてしまった。ハングリーさの欠如というものがあった」

 2014年ブラジルW杯で、1990年イタリア大会以来の優勝を果たした“マンシャフト”(ドイツ代表の愛称)。ゲルマン魂と呼ばれる鋼の精神力が武器だが、前回の優勝を経験した主力の多くは満足感を得てしまった可能性がある。

 そして二つ目として挙げたのが、名将ヨアヒム・レーブ監督のチームマネジメントに緩みが見えた点だ。

「チーム内で先発選手が控え選手にポジションを奪われるかもしれないという恐怖心が、あまりなかった。自分も代表で、先発ではない時期もありました。でも今のチームには競争が欠けていた。先発メンバーは過剰な安心感を手にしていた。ケディラはメキシコ戦で交代を命じられていたが、フィールド上で『なんでオレが』という素ぶりを見せていた。パフォーマンスが良くなければ代えなければいけない。選手もプレッシャーを感じなければいけない。W杯メンバーに選ばれたなら、チームに貢献する義務がある」

 チームのパフォーマンスが上がらなくても、主軸を信じメンバーを固定していたレーブ流が、主力に安心感を与え、チームに弛緩したムードをもたらした可能性もあるというのだ。

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