王国での祝祭が幕開け 主役候補のネイマールが圧倒的な存在感!!開催国ブラジルが3-1でクロアチアから開幕戦勝利
王国で幕を開けた世界の祭典は、キックオフ前から異様な熱気に包まれていた。カナリア軍団は選手全員が右手を肩に乗せ、列をつくってゆったりと大観衆が待つスタジアムへと足を進めた。その先頭を歩いたチアゴ・シウバは高ぶる感情を必死に抑えようと試みたが、その目には涙の膜ができあがっていた。
クロアチアに続き、ブラジルの国歌斉唱になると、さらにボルテージが上がった。演奏が途中で消えると、会場全体がアカペラの大合唱が起こる。震えるような興奮を覚える熱狂のフェスティバルがここから始まった。
その試合は開始早々に動いた。ゴールネットは意外な形で揺れた。前半11分、クロアチアがカウンターから一気にボールを進める。オリッチ(ボルフスブルグ)が左サイドを駆け上がり、中央へと球足の速いクロスを送った。そこに、走り込んだニキツァ・イェラビッチ(ハル・シティ)がニアで合わせると、ファーに流れたボールがブラジルDFマルセロ(レアル・マドリード)の足に当たってゴールラインを割ってしまう。スタジアムからは、一瞬の静寂に続き、ため息と落胆の声が上がった。
窮地に立たされたブラジルだったが、国民の期待を一身に背負うナンバー「10」が重圧をはねのけ、アレナ・ジ・サンパウロを熱狂へと導いた。前半29分、中央でパスを受けたネイマール(バルセロナ)が細かなタッチでボールを動かし、左へと流れながら左足を振った。「難しいプレーだったが、相手CBの足下を狙った」というエースの足を放れたボールは糸を引き、導かれるようにゴール右隅へと吸い込まれた。ピッチ上でネイマールが雄叫びを上げると、会場全体が地響きを立て大歓声に包まれた。