西野J快進撃の根底に息づく“ハリルの遺産” プロ集団に変えた「戦う意識」と「経験則」
4年前のブラジル大会で大久保は主張「反則をしてでも止めるべきだった」
大久保に言わせれば「戦っていない」というわけだ。「チームのためには反則をしてでも止めるべきだった」と振り返っており、これではグループリーグ敗退しても当然だった。
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そんな日本にたとえフィジカルで劣っていても「戦うこと」、「ファイトすること」を求めたのがハリルホジッチ元監督だった。最初から諦めるのではなく、少しでも対抗できるよう日常のリーグ戦で鍛えていく。そんなシーンがフィジカルの屈強なセネガル戦で随所に見られた。
前半20分、セネガルFWイスマイラ・サールの突破をMF柴崎岳が反則覚悟でブロック。後半9分にはDF吉田麻也がFWサディオ・マネのドリブル突破を体当たりで止める。いずれもストップできないと判断しての“プロフェッショナル・ファウル”だった。
さらに後半23分、ミドルサード右でボールをキープした乾がサールにボールを奪われると左サイドまで追走。それでもサールのドリブルに追いつけないと判断した乾はペナルティーエリアに入られる前に手を使ってサールを倒す。このプレーで乾はイエローカードとなったが、ボールをロストしたら責任を持ってリカバーするヨーロッパの常識を乾は実践した。
乾がスペイン・リーグで経験を積まなければ、そしてハリルホジッチ元監督からデュエルの必要性を求められなければ、ボールを失ってもリカバーは味方ボランチかDFに任せていたかもしれない。「戦う意識」は4年前に比べて明らかに進化していた。
六川 亨
1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。