なでしこの「マナドーナ」が決勝弾 右足故障を乗り越え、4強進出の立役者に

「マナドーナ」という愛称も持つ岩渕

 岩渕の名前が初めて世界にとどろいたのは、2008年のU-17女子W杯。1次リーグ3試合で17ゴールを叩き出した日本の中心としてプレーしたが、ベスト8でイングランドにPK戦の末に敗れた。それでも、FIFAは突出したプレーを見せた岩渕を大会MVPに異例の選出。「日本のマナは楽園から来た」と大々的に報じたほどだった。
 着実にその才能を伸ばした岩渕は、前回ドイツ大会でもメンバー入り。開幕のニュージーランド戦で宮間の決勝FKを呼び込むドリブル突破でチームに貢献した。12年ロンドン五輪でも切り札として起用された。しかし、決勝のアメリカ戦では決めれば同点という相手GKとの1対1の場面で、世界一の呼び声も高いGKホープ・ソロにセーブされた。試合後には悔し涙を流した。
 五輪後にドイツへと渡った岩渕は、ドイツ2部ホッフェンハイムの女子チームで1部昇格に貢献。その実力が評価され、14年シーズンからはドイツ最強クラブであるバイエルン・ミュンヘンの女子チームでプレーする。世界最高峰のトレーニングを間近で見ながら、技術を磨いてきた。線が細かったフィジカル面も目に見えて向上し、オーストラリア選手たちにも見劣りしないコンタクトの強さを見せた。
「なでしこではまだまだゴールが少ないんですけど」と照れ笑いしながらも、「また、大事なところで決められる選手になっていきたい」と、力強く語った。その才気溢れるプレーぶりからアルゼンチンの伝説の天才にちなみ「マナドーナ」という愛称も持つ岩渕。次代のなでしこを担うニューヒロイン岩渕が、なでしこ連覇に鍵を握る存在となる。

 

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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