日本代表コメントで振り返るセネガル戦の舞台裏 「2-2」を導いた“勝負のあや”とは?
最後まで「勝ちにいった」末のドロー
後半20分にセネガルのアリウ・シセ監督は、アルフレッド・エンディアイエに代えてキャプテンの長身MFシェイク・クヤテを投入。それまで巧みなポジショニングで日本の攻撃にリズムをもたらしていた香川にほぼマンツーマンで付く形で、大迫との縦ラインを分断してきた。その6分後に再びセネガルの勝ち越しとなるゴールが生まれる。マネがインサイドでボールを持ち、そこから浮き球のパスで外を追い越すサバリに出し、折り返しをエムベイェ・ニアングが外に流したボールを右から走り込んだワゲが豪快なボレーシュートでネットを揺らした。
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西野監督が動いたのはその直後だった。まず同27分に香川に代えて本田圭佑をトップ下に入れると、さらに3分後には岡崎慎司を投入して本田を右サイドに移す。そこから間もない同33分に、西野采配がズバリ的中する。大迫が右から短いクロスを上げると岡崎が果敢に飛び込み、GKのカディム・エンディアイエと交錯。ボールが左に流れ、拾った乾のリターンに再び岡崎が反応してGKとともに潰れ、その逆側に入り込んできた本田が至近距離から左足で叩き込んだ。
終盤で同点となり、普通なら引き分けもちらつくところだが、シセ監督はトップのニアングに代えてマメ・ビラム・ディウフ、西野監督は左の乾に代えて宇佐美貴史と攻撃的なカードを切って勝ち点3を狙う姿勢を貫く。どちらかといえば日本の方が前に攻めかかるシーンが多くなる。特にカウンターから岡崎が落とし、柴崎、大迫、宇佐美とつながったシーンは惜しかったが、セネガルの粘り強い守備に阻まれた。
最後はセットプレーからあわや三たびの勝ち越しを許しかけるも、最後まで勝ちにいっての引き分けに西野監督は「最後まで勝ちきって6ポイントにしてという状況。それは、やはり叶いませんでしたが、敗者復活ではなく、3試合目に間違いなく有効な結果、チームにもたらす今の状況。勝ちきれるということをもたらしたゲームと考えたい」と、3試合目への手応えを示した。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。