日本代表コメントで振り返るセネガル戦の舞台裏 「2-2」を導いた“勝負のあや”とは?
日本の攻撃にリズムを生んだ柴崎の配球
そして長友のフリーランに気づき、後方から見事なロングパスを出したのが柴崎岳だ。長友はスピードを落とすことなくペナルティーエリア左で浮き球をトラップ。ボールコントロールがずれたように見えたが、結果的に寄せてきたワゲを中にかわす形になり、フォローに来た乾が拾って動き直す。そこに連動して香川や大迫もゴール前に飛び出してくるが、乾はわずかに空いたファーサイド側のシュートコースを見逃さず、得意の右足で巻く形でゴール右隅に同点ゴールを決めた。
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「最初スルーするかどうか迷ったんですけど、 あの角度じゃ佑都くんはたぶんシュートを打てないと思ったので、自分が持って、上手くゴール方向に向けたので、得意のコースでしたし思い切って打ってみようと思いました」
前半のうちに同点として勢いに乗る日本は後半にロングボールを増やし、大迫のポストプレーから原口が仕掛けてシュートを狙うなど逆転ゴールを狙う。パパ・アリウヌ・エンディアイエを高い位置に上げて4-4-2気味の形でプレッシャーをかけ直したセネガルにファイナルサードまでボールを運ばれるシーンもあったが、日本もそこで浮き足立たずに粘り強く守り、攻撃に出るというスリリングな時間が続いた。
「基本的にはしっかりとつなぎながら、連携を取りながらというイメージをしていたのですが、予想以上にあまり裏への配球への対応が良くなかったので、そこはロングボールも織り交ぜながらと切り替えた」(柴崎)
日本にとって惜しかったのは、後半15分と18分の連続的なシーン。香川が相手のバックパスのミスをカットしたところから素早く原口につなぎ、その外側から前に出てきた柴崎がリターンのクロスをGKとDFの間に通すが、そこに飛び込んだ大迫のタイミングが合わずに空振りしてしまった。さらにセカンドボールから押し込んだ日本は、前線でロングパスを受けた大迫がヒールパスで追い越す乾に通す。乾はループ気味のシュートを打つも、クロスバーを叩いてしまった。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。